デベロップカップ。
ディベロップでなく「デベロップ」ですね。
U-15年代のクラブチームによる新しい大会である。
夏の最高峰は今までと同じくクラブユース選手権だ。
クラ選にあと一歩及ばなかったチームがデベロップ杯に出場する。
関東なら予選の1〜9位までがクラ選に出場。
デベロップカップには10〜12位が参加する。
欧州CLとUEFAカップの関係と説明すれば分かり易いだろう。
デベロップカップの参加は全国16チーム。
日程はクラ選より3日短い。
決勝戦に出ると6日で5試合消化することになる。

デベロップカップ決勝はクラ選の「前座」に入った。
会場はJビレッジスタジアム。
ロアッソ熊本とジェフ千葉の対戦である。
つい先週同じカードを見た気もするけど…(笑)

ロアッソ熊本ジュニアユース
GK  1 加藤大喜   3年   176/60
DF  5 中西雄大   3年   173/60
    2 柳田健太   3年   172/58
   11 舛田俊樹   3年   170/55
   20 松田凌哉   3年   168/58
MF  7 上村周平   3年   160/47
   15 坂本広大   3年   167/55
   17 池谷友喜   3年   160/45
    8 山本宗太朗  3年(早)177/50
   16 吉田翼    3年   164/58
FW 10 嶋田慎太郎  3年   165/50

−−−−−−−嶋田−−−−−−−
−-吉田−-山本−−池谷-−坂本-−
−−−−−−−上村−−−−−−−
−松田−−舛田−−柳田−−中西−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−加藤−−−−−−−

ジェフ千葉U-15
GK  1 吉岡直哉   3年   172/55
DF  2 高将基    3年   165/62
    3 鳥海晃司   3年   176/56
   16 竹之内勇人  3年   173/58
   10 奥野滉平   3年(早)173/65
MF 15 伊藤翼    3年   171/57
   13 白井将太   3年   173/60
    9 秋山陽介   3年   167/56
    7 新堀真也   3年   171/61
   11 金子拓矢   3年   160/54
FW 22 バリガ・ジロ 3年   175/58  

−−−−−−-バリガ-−−−−−−
−−金子−−−新堀−−−秋山−−
−−−−−白井−−伊藤−−−−−
−奥野−-竹之内−−鳥海-−−高−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−吉岡−−−−−−−


この年代を見る時は選手の「生年月日チェック」を欠かさない。
ロアッソの誕生日バランスが素晴らしい(笑)
4月〜9月の上半期が6人。10月から3月の下半期が5人。
実に「普通」な分布である!

お互い丁寧に繋ぐチームである。
「意図のないパス」が少ない。
どちらもCBからしっかり繋いでくる。
グラウンダーのショートパス、ミドルパスが多い。
もちろん浮き球はあるけど両サイド、スペースへの狙いだ。

12分、熊本は池谷友喜が相手CBのパスをブロック。
池谷は縦に仕掛けて右から中に叩く。
嶋田慎太郎がこれを収めて外に開く。
吉田翼はエリア左に走りこんでシュート。
決定的だったけどCB竹之内勇人が枠内でブロックした。

池谷友喜は池谷友良GMのご子息。
小柄で細身だけど技術的に素晴らしいものを持っている。
姿勢が良くて上半身が揺れない。反転が早い。
小さなスペースを見つけてパスを引き出し、更に配球できる選手だ。

13分、千葉は新堀真也が右サイドから右足一閃。
40mほどの距離から思い切り狙って対角ネットに突き刺さった。
<ジェフ千葉U-15 1−0 ロアッソ熊本ジュニアユース>

15分、千葉は秋山陽介が左サイドから仕掛ける。
CBとSBのギャップに切れ込んで抜け出す。
熊本のDFが止めきれず後ろから押して対応。
このプレーで千葉にPKが与えられる。

16分、千葉は新堀真也がこのPKを成功。
<ジェフ千葉U-15 2−0 ロアッソ熊本ジュニアユース>

25分、熊本は中西雄大が右サイドから折り返す。
嶋田慎太郎がエリア内で潰れてボールはファーに流れた。
吉田翼はセカンドを拾って折り返す。
池谷友喜がヘッドを合わせてゴールイン。
<ジェフ千葉U-15 2−1 ロアッソ熊本ジュニアユース>

26分、熊本は上村周平が左サイドに叩く。
嶋田慎太郎がハーフライン付近から縦に仕掛ける。
スラロームのようなドリブルで1人、2人とぶっちぎる。
嶋田は自らゴールの左脇まで切れ込んで右足で叩き込んだ。
<ロアッソ熊本ジュニアユース 2−2 ジェフ千葉U-15>

この突破には驚いた。
嶋田慎太郎も大柄な選手じゃないけど突進力が凄い。
身体のバネ、加減速の切れは抜群。
タッチも柔らかいからボールが足元を離れない。
おそらく左利きだと思うけどこの場面は右できっちり決めた。

32分、千葉は新堀真也が左から中に当てる。
秋山陽介はワンタッチで裏に落とす。
バリガ・ジロが抜け出してフリーでシュートを放った。
決定的だったけどGK加藤大喜がブロック。

バリガ・ジロは「素材感」の凄いアタッカー。
身体のバネ、大きなストライドが圧倒的である。
まだ覚えることは色々と有りそうだが…。

前半40分は2−2と拮抗して終了。
試合は後半。

42分、千葉は新堀真也が相手MFのバックパスを奪ってドリブル。
新堀はエリア内のギャップに切れ込んで自ら右足で流し込んだ。
<ジェフ千葉U-15 3−2 ロアッソ熊本ジュニアユース>
新堀真也はこれでハットトリックを達成。

58分、熊本はエリア左外の好位置でFKを得る。
池谷友喜がややマイナスに折り返す。
上村周平の右足ボレーは決定的だったけどGK吉岡直哉が触って外。

62分、熊本は松田凌哉が左サイドに縦フィードを入れる。
嶋田慎太郎が中に当てる。
山本宗太朗のシュートはDFがブロック。
舛田俊樹がこぼれ球から狙ったシュートはGK吉岡直哉がキープした。

熊本はこのプレーの直前からポジションを入替。
舛田俊樹がCBからCFに移って来ていた。

64分、熊本は嶋田慎太郎に警告。

64分、千葉は金子拓矢→浅川隼人。

64分、千葉は高将基が短くリスタート。
伊藤翼がエリア右にスルーパスを通す。
浅川隼人が完全に抜け出してシュートを狙った。
しかしGK加藤大喜が決定的な1対1をブロック。

65分、熊本は舛田俊樹が前線で縦にラストパス。
池谷友喜がエリア内で左に落とす。
嶋田慎太郎が切り返してマークをずらす。
嶋田は決定的だったけど打たずに右へラストパス。
池谷友喜のシュートは決定的だったけど千葉DFがブロック。

67分、熊本は吉田翼→森川和命。
森川は2年生。右サイドに投入された。
熊本の布陣はこう↓
−−−−−−−舛田−−−−−−−
−-嶋田−-山本−−池谷-−森川-−
−−−−−−−上村−−−−−−−
−松田−−中西−−柳田−−坂本−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−加藤−−−−−−−


71分、千葉は浅川隼人が相手GKをブロック。
新堀真也は浮き球をコントロールして左に鋭く展開。
秋山陽介がエリア内に切れ込んで左足で叩き込んだ!
<ジェフ千葉U-15 4−2 ロアッソ熊本ジュニアユース>

74分、熊本は松田凌哉に警告。

77分、熊本は山本宗太朗→二ノ文竜司。
熊本の最終布陣がこう↓
−−−−−−−舛田−−−−−−−
−-嶋田−-森川−-池谷−二ノ文-−
−−−−−−−上村−−−−−−−
−松田−−中西−−柳田−−坂本−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−加藤−−−−−−−

80分、千葉は奥野滉平→小倉拓人。
千葉の最終布陣がこう↓
−−−−−−-バリガ-−−−−−−
−−金子−−−新堀−−−浅川−−
−−−−−白井−−伊藤−−−−−
−竹之内−-鳥海−−小倉-−−高−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−吉岡−−−−−−−


ジェフ千葉がリードを守ってタイムアップ。
ロアッソ熊本を4−2で下してデベロップ杯の初代王者となった。
大会得点王、MVPの「2冠」がジェフ千葉の新堀真也。
5試合8得点は2位・井嶋悠介に2点差の単独首位である。
ボールを落ち着いて持てる選手だと思った。
周りがよく見えていて身体も強い。
凄い武器があるわけではないけど彼は「武器の使い方」が上手い。
ジェフ千葉U-15は新堀と和田凌が昨年からレギュラーだった。
和田がいないと思ったら彼はもうU-18の試合に出ているそうです。

ロアッソ熊本も素晴らしいサッカーをしていた。
大瀬良直人監督は28才。
大津高、駒澤大と巻誠一郎の2学年後輩にあたる。
スペースの見つけ方、作り方にこだわっているという話をされていた。
いいポジションを取ってそこにボールを動かす。
パススピード、精度を上げていくという順序で考えているらしい。
両ウイング、両SBが外に開く。
相手が釣られたら今度は中に通す。
そういうイメージかな?

「駒澤っぽくないですね」などと失礼なことを言ってしまった。
大瀬良監督は昨年までトップのコーチを務めていた。
北野誠前監督や永尾健次ダイレクターの影響を受けたそうである。
若い指導者が野心的なサッカーをしているのを見られて嬉しかったです。
熊本はクラ選で見たブレイズ熊本、バレイアも面白かった。
何気に面白いサッカー、指導者が多い土地な気がします。