賃金への不満から南海ホンダ部品製造有限公司の従業員は21日夕刻に再びストに入った。同社に入社したばかりの杜園さん(仮名)によると、彼女の月給は約1000元(約1万5000円)ほどだが、日本人技術者の月給は5万元(約75万円)にも及ぶという。

 ホンダ自動車部品製造公司の低技能労働者の月給は、佛山市規定の最低賃金をわずかに上回るほどの給料であり、最近の物価上昇などが従業員の不満を爆発させたようだ。

 中国でも社内の従業員の給与で外国人と中国人で大きな隔たりがある点については、それぞれの国の労働力のコストが異なるという理由から当然のこととして認知されているが、今回のように同じ会社で働く従業員の給与が天と地ほどもかけ離れると、不満感が高まるのは必然といえよう。

 中国メディアでは「これほど対極な立場では、社内の内部管理も難しい」、「中国人スタッフによる自主的で創造性ある業務を期待することも出来ない」とホンダを痛烈に非難した。またホンダの給与体系に対し「やりたい者だけが残ればいい。不満なものは退社せよ」といった管理方針が反映されたものだとホンダの中国人スタッフへの配慮の無さを指摘した。

 当記事を執筆した中国人記者は「ホンダは、現地スタッフのことを、もともとから自社の従業員などとは思っておらず、ただ単に『労働力の一人』として遇しているに過ぎないのである。これは『血汗工場(過酷な労働環境で労働力を搾取される工場)』の管理方針のひとつである。」と怒りを露わにしている。

 当問題は自動車業界は現在中国国内でも大きな発展をしてきた一方で、中国人にはその利益が還元されていない現状が表面化したものと思われる。

 記者は労働者と企業管理層間における「給与調整のためのシステム」を構築することが先決で、特に外資系企業内で働く弱い立場にある中国人スタッフは、労働組合の職能や権利を確立し、外資系企業の上層部と、給与面について実際に交渉が出来る組合システムを早急に構築すべきとと主張しながらも、中国の地方政府が外資系企業に対する賃金の規定を徹底すべきと批判した。(編集担当:松村大介)



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