【最新ハイテク講座】なぜ電源を切ってもデーターが消えないの?「フラッシュメモリー」
最近はコンパクトフラッシュメモリー、SDメモリーカード、USBフラッシュメモリーなど、「フラッシュメモリー」を記憶用媒体として使用するメディアが多くなってきた。また、外部メモリーだけでなく、ポータブルオーディオプレイヤーや携帯電話、デジタルカメラのように、フラッシュメモリーを本体に内蔵する製品も登場し始めている。さらにパソコンでは、これまで主流であったハードディスクの代わりにフラッシュメモリーをドライブとして利用するノートパソコンも相次いで発売され始めている。
フラッシュメモリーは、今では我々の生活に欠かせないメディアとなっているが、なぜ電源を切ってもデーターは消えないのだろうか? なぜ100Gバイトを超える大容量のフラッシュメモリーは登場しないのだろうか?
今回は、身近になったが、わからないことも多いフラッシュメモリーの疑問に迫ってみよう。
■電源を切ってもデーターが消えない理由
フラッシュメモリーは、「フラッシュEEPROM」または「フラッシュROM」とも呼ばれる、不揮発性半導体メモリーだ。
なぜ電源を切ってもデーターが消えないで残っているのだろうか?
ここでは、使用頻度が高いフラッシュメモリーである「NAND型フラッシュメモリー」を例に、その仕組みを説明しよう。
●NAND型フラッシュメモリー
NAND型フラッシュメモリーは、東芝が1987年に開発した不揮発性のメモリー。コンパクトフラッシュカードやSDメモリーカード、USBフラッシュメモリーに使用されているなど汎用性が高い。後述するNOR型フラッシュメモリーに比べて回路の小型化が容易で大容量化に向いているといえる。
1ビットの情報を蓄積するために必要な回路構成を「メモリーセル(または単にセル)」と呼ぶが、NAND型のセルは基板にP層を挟みこむようにN層を作り、P層の上に浮遊ゲート、さらにその上に制御ゲートが存在する。浮遊ゲートは絶縁体で遮断されており、浮遊ゲートに電子がある状態を「0」、電子がない状態を「1」としてデーターを記憶している。
データーを書き込む場合には、N層をグランドに、制御ゲートに駆動電圧をかけて電子を浮遊ゲート内に引き込み(FNトンネリングにより)、書き込まれる。またデーターの消去は、P層に駆動電圧をかけて、浮遊ゲートから電子を引き抜くことで削除できるという訳だ。
浮遊ゲートから電子を引き抜く仕組みだ。
浮遊ゲート内に挟まれている書き込まれたデーターの電子は、絶縁体でその状態が保持されるのために電源を切ってもデーターが消えることがないのだ。
※FNトンネリングとは、Fowler-Nordheim Tunnelingの略。「FNトンネル効果」ともいう。浮動ゲートに蓄えられた電化は、まわりの誘電体の電位に妨げられることが原因で通常は井戸の中に落ちたようになっているが、外部電界を加えることで浮遊ゲートの電荷はトンネルを抜けるように外に出ることができる。
■携帯電話の中にもあるフラッシュメモリー
フラッシュメモリーは、メディアだけに使用されている訳ではない。携帯電話やPDAなどには、ROMの代わりにファームウェアを格納するメモリーとしてNOR型フラッシュメモリーを採用している端末がある。
NOR型フラッシュメモリーは、インテルが開発した不揮発性半導体メモリー。内部回路がNORと同じ構造を持つことが名前の由来となっている。前述のNAND型フラッシュメモリーに比べてランダムアクセスが高速で、誤り訂正が不要なために信頼性が高いとされる。逆にデメリットは、データーの書き込みや消去に時間がかかり、高集積化が難しい構造であるため、大容量化に適していないことから、ファームウェアを格納するメモリーとして使われることが多い理由となっている。
■ハードディスクからフラッシュメモリーの時代へ
現在のノートパソコンは、大半がプログラムを保存するためにハードディスクを利用しているが、最近ではハードディスクの代わりに「ソリッドステートディスク(SSD)」と呼ばれるフラッシュメモリーを内蔵した製品が登場し始めた。
※ソリッドステートディスク(SSD)と呼ぶことが多い
通常、SSDはハードディスクと同じインターフェイスで提供されるため、内部にメモリーや制御ボード、電源などが組み込まれており、ハードディスクと置き換えて使用できる。SSDはハードディスクの磁気ヘッドのように機械的な動きを必要としないため振動に強く、移動中の信頼性も高い。また同型のハードディスクに比べて軽量であることから携帯性を重視する薄型や小型のモバイルノートPCに適している。
逆にデメリットは、ビット当たりの単価がハードディスクに比べて高いことで、大容量のSSDはどうしてもまだ高価となる。
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編集部:関口哲司
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■電源を切ってもデーターが消えない理由
フラッシュメモリーは、「フラッシュEEPROM」または「フラッシュROM」とも呼ばれる、不揮発性半導体メモリーだ。
なぜ電源を切ってもデーターが消えないで残っているのだろうか?
ここでは、使用頻度が高いフラッシュメモリーである「NAND型フラッシュメモリー」を例に、その仕組みを説明しよう。
●NAND型フラッシュメモリー
NAND型フラッシュメモリーは、東芝が1987年に開発した不揮発性のメモリー。コンパクトフラッシュカードやSDメモリーカード、USBフラッシュメモリーに使用されているなど汎用性が高い。後述するNOR型フラッシュメモリーに比べて回路の小型化が容易で大容量化に向いているといえる。
1ビットの情報を蓄積するために必要な回路構成を「メモリーセル(または単にセル)」と呼ぶが、NAND型のセルは基板にP層を挟みこむようにN層を作り、P層の上に浮遊ゲート、さらにその上に制御ゲートが存在する。浮遊ゲートは絶縁体で遮断されており、浮遊ゲートに電子がある状態を「0」、電子がない状態を「1」としてデーターを記憶している。
データーを書き込む場合には、N層をグランドに、制御ゲートに駆動電圧をかけて電子を浮遊ゲート内に引き込み(FNトンネリングにより)、書き込まれる。またデーターの消去は、P層に駆動電圧をかけて、浮遊ゲートから電子を引き抜くことで削除できるという訳だ。
浮遊ゲートから電子を引き抜く仕組みだ。
浮遊ゲート内に挟まれている書き込まれたデーターの電子は、絶縁体でその状態が保持されるのために電源を切ってもデーターが消えることがないのだ。
左がコンパクトフラッシュカード、右がSDメモリーカード | USBフラッシュメモリー |
※FNトンネリングとは、Fowler-Nordheim Tunnelingの略。「FNトンネル効果」ともいう。浮動ゲートに蓄えられた電化は、まわりの誘電体の電位に妨げられることが原因で通常は井戸の中に落ちたようになっているが、外部電界を加えることで浮遊ゲートの電荷はトンネルを抜けるように外に出ることができる。
■携帯電話の中にもあるフラッシュメモリー
フラッシュメモリーは、メディアだけに使用されている訳ではない。携帯電話やPDAなどには、ROMの代わりにファームウェアを格納するメモリーとしてNOR型フラッシュメモリーを採用している端末がある。
NOR型フラッシュメモリーは、インテルが開発した不揮発性半導体メモリー。内部回路がNORと同じ構造を持つことが名前の由来となっている。前述のNAND型フラッシュメモリーに比べてランダムアクセスが高速で、誤り訂正が不要なために信頼性が高いとされる。逆にデメリットは、データーの書き込みや消去に時間がかかり、高集積化が難しい構造であるため、大容量化に適していないことから、ファームウェアを格納するメモリーとして使われることが多い理由となっている。
携帯電話には、NOR型フラッシュメモリーを採用している端末がある |
■ハードディスクからフラッシュメモリーの時代へ
現在のノートパソコンは、大半がプログラムを保存するためにハードディスクを利用しているが、最近ではハードディスクの代わりに「ソリッドステートディスク(SSD)」と呼ばれるフラッシュメモリーを内蔵した製品が登場し始めた。
※ソリッドステートディスク(SSD)と呼ぶことが多い
通常、SSDはハードディスクと同じインターフェイスで提供されるため、内部にメモリーや制御ボード、電源などが組み込まれており、ハードディスクと置き換えて使用できる。SSDはハードディスクの磁気ヘッドのように機械的な動きを必要としないため振動に強く、移動中の信頼性も高い。また同型のハードディスクに比べて軽量であることから携帯性を重視する薄型や小型のモバイルノートPCに適している。
逆にデメリットは、ビット当たりの単価がハードディスクに比べて高いことで、大容量のSSDはどうしてもまだ高価となる。
富士通の「LOOX U」はカスタムメイドモデルでフラッシュメモリーディスクを選択できる | 東芝のモバイルノートPC「dynabook SS RX1」にもSSDモデルが用意されている |
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編集部:関口哲司
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