6日、衆議院第一議員会館で『外国人研修生権利白書2006』について記者会見する社民党の保坂展人衆議院議員(中央)ら(撮影:佐谷恭)

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外国人研修制度がはらむ問題を提起する個人などの集まり「外国人研修生問題ネットワーク」(東京都台東区)は6日、東京都千代田区の衆議院第一議員会館で記者会見を開き、同団体が発行した、国内の企業が受け入れている外国人研修生の現状などを報告する『外国人研修生権利白書2006』の内容について説明した。

 外国人研修制度は、外国人労働者に日本の技術・知識などを習得させることを目的としており、入管法上の在留資格は「研修」で、期間は1年以内が原則。大手企業などは海外進出に伴って研修生を受け入れ、技術習得の後、現地法人などで研修内容を生かしている。

 一方で、研修制度を“安い労働力”として利用しようとする動きもある。白書によると、高い人件費で成り立ちにくくなったアパレル・縫製など労働集約型の産業が、研修生の主な受け入れ先で、制度が悪用されていることが多い。極めて安い賃金で長時間労働させたり、社会保険や労働保険に加入させないことや、パスポートや外国人登録証を取り上げたり、劣悪な環境に住まわせる例もあるという。

 会見に出席した社民党の保坂展人衆議院議員は「建前上は高度な技能を持つ外国人のみを受け入れることを政策としながら、外国人研修生を単純労働分野に容易に導入できる抜け道があるのが実態。国の認めた仕組みで入ってきている人たちが、『女工哀史』のような状態になっている」と話した。

 『外国人研修生権利白書2006』は、現在、同団体が出版の準備を進めている。発売日は未定。今後も問題の流れを何年かに1度報告する計画のため、タイトルに“2006”をつけた。【了】