フェービー・ヤオ、ダウンスイングからインパクトに“肝”がある(撮影:鈴木祥)

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今季優勝した選手のスイングから強さの要因、そしてアマチュアが参考にすべき部分を探る“Playback LPGATour2018”。第4回は、3月の「アクサレディス」で4季ぶりのツアー2勝目を挙げたフェービー・ヤオ(台湾)のスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。
インパクト時の右腕に注目 フェービー・ヤオのスイング連続写真
ドライビングディスタンス(DD)は233.52ヤードの55位ながら、フェアウェイキープ率(FW)5位で、ショットの正確性を表すトータルドライビング(DD順位とFW順位を合算したランク)は6位となったフェービー。そのスイングを見た辻村氏は、「一番いい点」としてインパクト時の“左肩”と“ヘッド”の位置関係に注目した。
「インパクト時に、左肩とヘッドがほぼ垂直に一直線で結ばれています。顔が左にぶれることなく、しっかりとカベを作れている。そのうえで、ヒジの曲がりを見ても分かるように右腕にはまだ余裕がある。この形がインパクトの時にできていると、ボールは曲がらないですね」
フェービーは、ダウンスイングで手元が腰付近まで下りてきた時には、すでにシャフトが地面と平行…、それどころかやや地面側に傾いている“ほどきの早さ”が特徴と指摘した辻村氏。それだけに、「早くほどける(アーリーリリースの)アマチュアの人に参考にしてもらいたいスイング」と話した。
ほどきが早いと、その分ヘッドが体の回転よりも早く前に流れて振り急ぐケースも出てくる。しかしフェービーは、顔の左にカベを作ることで、しっかりとヘッドが後からついてきて、ジャストタイミングでボールを捉えることができる。そのスイングを見ると、インパクトまで顔の位置は変わらない。そして、もう1つ注目すべきが、インパクト時の右腕。
「インパクト時に、右ヒジが伸びてしまってはいけません。ここではヒジが少し曲がっていて、フォローで押し込むという動きが必要になってきます。こうすることで、ボールがフェースに乗っている時間も長くなります。フェービーさんの、ボールをしっかりと乗せて、運ぶ技術がここに出ています」
例えばボクシングでも、腕が伸び切った後に当たるパンチよりも、ヒジが曲がった状態でヒットして、その後にグッと押し込んだ方が威力は強い。インパクト時に曲がっている右腕が、フォロースルーでのリーチを生み出し、曲がらない球を生み出す。フェービーの正確なショットのヒミツを、そこに見出すことができた。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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