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■3大メガバンクが統一規格「BankPay」で合意

キャッシュレス化実現へ向け、メガバンクの動きが加速している。三菱UFJ、三井住友、みずほの3大メガバンクによるQRコード決済「BankPay」の統一規格で合意、2019年度の実用化を目指していると報じられている。背景には2つの要因がある。

まず、ATMを含めたリテールのネットワーク維持費がかさむことがある。マイナス金利の影響もあり、各行や金融機関は、構造改革の必要性に迫られている。

次に、ユーザーの選択肢の多様化もポイントだ。これまで、キャッシュレス化の大半を占めたのはクレジットカードだったが、「LINE Pay」や「楽天ペイ」など簡易決済が浸透しつつある。もともと、クレジットカードは金融機関にとって収益性の高い決済手段であるが、これら簡易決済にシェアを奪われる危機感もあろう。

日本のキャッシュレス支払いの比率は18%(15年時点)。約60%と高比率の韓国や中国はもとより、欧米の30〜50%との比較でも、日本市場のキャッシュレス比率は低い。

■現金中心の生活に戻るのは考えにくい

QRコード決済の利点には、スマートフォンの個人情報の運用も挙げられる。アメリカのキャッシュレスは、主にクレジットカードを指すが、中国ではスマホ決済を指す。クレジットカードによる決済に比べて、スマホによる決済はより多くの情報を取得できる可能性のある決済手段である点は大きな違いとなる。

取得データを増やせば、みずほとソフトバンクの合弁会社が、日本初のAIスコアをもとに最適な条件で貸し付けを行う「AIスコア・レンディング」も実施するように、新たな金融サービスの提供も可能となる。

1度キャッシュレスを経験すると、現金中心の生活に戻るのは考えにくい。大手銀行がQRコード決済に注力することで社会的信用も高まり、現金不要時代の波が訪れている。

(ゴールドマン・サックス証券 アナリスト 田中 克典 構成=栗田シメイ 写真=iStock.com)