列車や駅などにおける忘れ物は、東京メトロだけでも1日1000件を超えます。その多くは乗客が身に着けていたものですが、四国では、ここならではの珍しい忘れ物も少なくないようです。

忘れ物に地域差は…?

 列車や駅に忘れ物をした経験がある人は少なくないかもしれません。どのようなものが、どれほど「忘れ物」になっているのでしょうか。


駅における忘れ物取扱い所のイメージ(画像:写真AC)。

 東京メトロによると、同社の列車内や駅における忘れ物の件数は、2016年度には約67万件、1日あたりにして1800件以上にのぼるといいます。

「やはり傘が多いです。6月など雨の多い時期に増える一方、冬はマフラーなどの小物の割合が増えます。一方、現金は時期に限らず年間を通じて多いです」(東京メトロ)

 拾得された現金額では、1年間で3000万円以上、1日あたりにして80万円以上(2016年度)だといいます。忘れ物の総件数、現金額とも、ここ3年間においては増加傾向にあるそうです。

 地方ではどうでしょうか。JR四国は、列車や駅での忘れ物の状況を年度ごとに取りまとめ、「忘れ物白書」として1987(昭和62)年から毎年公表してますが、それによると、2016年度における同社管内での忘れ物総件数はおよそ3万3000件です。件数としては東京メトロに比べて大幅に少ないですが、拾得現金額はおよそ2700万円と肉薄しています。

そんなものまで!? 四国ならではの忘れ物事情

 忘れ物の品目については、東京メトロとJR四国とで違いがあるのでしょうか。JR四国に傾向を聞きました。

――忘れ物はどのようなものが多いでしょうか?

 やはり最多は傘で、2016年度はおよそ2割を占めました。以下、メガネや帽子、手袋などの装身具類、書籍・文房具類と続きます。

――最近増えている忘れ物はありますでしょうか?

 スマートフォンやタブレット端末などでしょう。2016年度における携帯電話類の忘れ物件数は2454点で、書籍・文房具類の2752点に近い値です。

――珍しい忘れ物は?

 四国ではお遍路さんが列車を利用されることもあり、そのような方が身に着ける金剛杖や袈裟(輪袈裟)などは、四国ならではの忘れ物といえるかもしれません。特に2016年は、通常の巡礼と逆の順路で回る「逆打ち」をすると縁起が良いといわれた年で、多くのお客様が訪れました。また、香川名物であるうどんや骨付き鳥などのおみやげ品が、忘れ物として届くこともあります。

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 ほかに近年の珍しい忘れ物としては、ダイヤの指輪やギター、礼服、入れ歯、卒塔婆などもあったそうです。

 JR四国は、忘れ物をした際は「できるだけ早く最寄りの駅か乗務員にお申し出下さい」とする一方、時間が経過してから忘れ物に気付いた場合でも、「ご利用になった列車の終着駅にお問い合わせいただくと早期発見できる場合がございます」としています。

【画像】「四国ならでは」の忘れ物とは?


お遍路さんが身に着ける金剛杖や袈裟が、忘れ物として届けられることがあるという(画像:イラストAC)。