患者のカルテからAIが予測(写真はイメージ)

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先日、厚生労働省は糖尿病患者が1000万人を超えたと発表したが、藤田保健衛生大と第一生命は2017年9月22日、人工知能(AI)を使い、糖尿病患者が半年後までに重い合併症を発症するかどうかを予測するシステムを開発したと発表した。

同大学ではシステムを患者の重症化の予防に活用、第一生命は保険加入基準の拡大や新商品の開発に役立てる。

予測に基づき患者にアドバイス、合併症を防ぐ

藤田保健衛生大学と第一生命の発表資料によると、研究チームは糖尿病に関する約2500万本の論文のほか、同大学病院の糖尿病患者約13万2000人の電子カルテのデータや栄養指導記録などをAIに学習させた。糖尿病の合併症としては、心筋梗塞などのリスクを高める「糖尿病性腎症」が知られている。AIに腎症の症状がない初期の患者データを入力、半年(180日)後に糖尿病が進行して腎症が発症するかを予測するシステムを開発した。過去の患者データで確かめると、71%の精度で正しく予測することができた。

同大学の研究者は発表資料の中で「予測に基づき、重篤な症状が出るのを防ぐことができる可能性があります。患者の日々の食事や運動を変えたり、薬を変更したりするなど適切なアドバイスができるようになるでしょう。医療費の削減に役立つ可能性もあります」とコメントしている。