中国各地にある「ご当地チャーハン」の中でも有名なのが「揚州チャーハン」だ。この江蘇省揚州市で23日、世界最大の“特盛り”としてギネス記録に申請することを目的にチャーハンが作られた。ところが、出来上がったチャーハンが廃棄されたとして、批判の声が上がった。主催側は、「一部に汚染が発生したので豚の餌にした」などと説明した。(写真は京華網の25日付報道の画面キャプチャ)

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 中国各地にある「ご当地チャーハン」の中でも有名なのが「揚州チャーハン」だ。この江蘇省揚州市で23日、世界最大の“特盛り”としてギネス記録に申請することを目的にチャーハンが作られた。ところが、出来上がったチャーハンが廃棄されたとして、批判の声が上がった。主催側は、「一部に汚染が発生したので豚の餌にした」などと説明した。

 揚州市旅遊局(観光局)などが主催して調理師を動員し、4192キログラムのチャーハンを作った。その後、作業員がスコップで出来上がったチャーハンをごみ回収車に入れる動画がインターネットに投稿されて、批判の声が殺到した。

 中国メディアの京華網や中広網は26日、揚州市観光局側の説明として、「イベントを進めている際、チャーハンの一部が調理後4時間経過した」、「(時間経過による)汚染で食用に適さない部分だけ養豚場に送って豚の餌にした」などと説明。

 チャーハンはもともと、学校や企業の食堂に提供される計画で、問題がない部分は計画通りに食用にしたという。

 同事態を批判する報道も多く見られた。中広網は、中国の子どもは誰でも、古詩なども通じて「ごはんの1粒、1粒に苦労が込められている」と学ぶと指摘。江蘇省は2014年時点でも貧困人口250万人を抱えることにも触れ、ギネス記録への挑戦に実際的価値は全くないと批判した。

 広州日報は26日付で、中国でギネス記録への挑戦が流行している現状を「人海戦術による子どもっぽい遊びで、技術的要素も極限に挑戦する冒険精神もない」と批判。「政治的業績を上げる低俗な営業行為」と論じ、習近平政権による官界の清廉さを求める政治姿勢とも合致しないと指摘した。

 中国版ツイッターの微博(ウェイボー)でも批判/非難の書き込みが殺到した。揚州市観光局には「地元の宣伝になる」との“大義名分”があったと考えられるが「揚州チャーハンは食用に適さないということだな」といった書き込みもある。地元の名物料理の宣伝としても、失敗したと言える。

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◆解説◆
 揚州チャーハンは卵、肉、海鮮、野菜などの「具」を多く使う特徴があるされる。ただし、日本の五目チャーハンと比べて、それほど極端に具が多いわけではない。日本人にとってはむしろ、食材の種類と量のバランスがよいチャーハンと説明した方がピンとくるだろう。

 揚州は長江河岸という地理条件から、三国時代ごろから極めて発展した。隋の煬帝が大運河を開削すると物資の集積地となり、さらに繁栄することになった。(編集担当:如月隼人)(写真は京華網の25日付報道の画面キャプチャ)