イラク戦の僕の採点は「なし」。相手の状態が悪すぎました。ですが、収穫はあったと思います。一部の選手にとっては、とても「怖い」収穫だったことでしょう。
 
 この試合で目立っていたのは、宇佐美貴史柴崎岳。特に宇佐美は狭い局面で前を向けるという自分の特徴を生かしてドリブルを仕掛け、岡崎慎司のゴールを生みました。自分で突破できるという良さが出ていたと思います。
 
 柴崎もゴールにつながる縦パスをビシビシ決めていました。自由にプレーさせると、当然これくらいのことはできる能力の高い選手だと思います。
 
 他にも槙野智章と原口元気は起用に答えたプレーをしてました。槙野はCBでもプレーできるという印象を監督につけたでしょう。原口はメンバー発表の時は「左右のFW」という位置づけだったと思いますが、それがトップ下で得点を決めたことで、最大限のアピールをしていました。
 
 でも、最大の収穫はこういう選手が活躍したことではなく、アギーレ監督時代までレギュラーだと目されていた選手が脅かされたことです。
 
 宇佐美が輝いたのですが、香川真司はどうだったでしょうか。本田圭佑もゴールこそ決めたものの、これまでのようにチームの王様になっていたでしょうか。華々しい代表デビューを飾っていた武藤嘉紀も、試合が終わった後まるで満足できないという表情を浮かべていました。
   
 正直に言えば、勝って当たり前という対戦相手が続く中、こういうチームメイトとの競争が無い限り、チームは停滞していきます。この試合で本田や香川が焦りを感じただろうことこそ、ハリルホジッチ監督の狙いだったのかもしれません。