/有印私文書偽造の一線を越えてしまえば、なんでもできる。相手を潰せば公訴もされない。彼らは、自分こそ被害者であり、わがままなやつに鉄槌を下すのだ、と言う。神仏を畏れず、善意と信念に満ちて語る人物は、たいてい天性の詐欺師だ。/そこそこ長く生きてきていれば、珍しい種類の人々を通りがかりに見かけることもある。悪人だ。とはいえ、粗暴犯や前科持ちなど、じつは大したことはない。恐ろしいのは、むしろそれなりの