体内に入り込んでくる凍ったように冷たい空気。銃から放たれる乾いた破裂音。息を止めたくなるようにきつい獣臭。まだ体温のある動物の内臓から漂ってくる生臭い匂い。河粼秋子氏の小説を読んでいると、今いる場所の空気が一変するような気がする。経験したことはないはずなのに、五感が反応してしまう。決して心地良いわけではないのだが、臨場感がクセになり新刊が出るたびに読んでいる。今までの河粼作品だって