その声色には、皮肉がたっぷり込められているようだった。「大人気だから、山浅は」今年の聖光学院を語る時、監督の斎藤智也が最も怪訝な表情をつくるのは、だいたいキャッチャーの山浅龍之介についてである。選手としての持ち味や特性などを聞かれれば好意的に話す。だが、質問者は決まって"あのこと"に集中する。だから斎藤はうんざりしてしまうのだ。「いまだに聞かれっかんね。もういいだろって。山浅は十分、苦しんだん