先日、上橋菜穂子『鹿の王』が第3回医療小説大賞を受賞した。ますます注目度が上がる医療小説というジャンルの中で、抜群の知名度と人気を誇っているのが、櫻井翔主演の映画化作品も記憶に新しい、夏川草介『神様のカルテ』だ。地方医療に情熱を傾ける医師・栗原一止を主人公にしたシリーズは1〜3巻の後、今年になって『神様のカルテ0』が刊行された。登場人物たちの前日譚というべき内容、そして初の短篇集と、番外篇のような