歴史上のできごとを絡めて、作者がそこに真っ赤な大風呂敷を広げる。読者は、「これ、収拾がつかなくなるんじゃないのか?この風呂敷、いったいどうやって畳む気だ?」と心配しながら、登場人物同様に作者に振り回される。そういう紙上絶叫マシンが、歴史ロマンとか伝奇小説と呼ばれるものである。なかには国枝史郎の『神州纐纈城』『蔦葛木曾棧〔つたかずらきそのかけはし〕』や谷崎潤一郎の『乱菊物語』のように、畳みきれなく