温泉に入った気持ちになるという

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 頭にホットタオルを巻かれ、その上から大きなヤカンで50度のお湯をジャバ、ジャバとかけられていく。「アッチッチ」と思いきや、意外にもそんなことはなく、むしろ頭がほんわり温かくなって気持ちがいい。不思議なことに時間がたつと、足の先まで温かくなってくる。

 寒い北風が吹く中、一日中外回りの仕事をしてきた身が癒され、思わず「ふっー」とためいきが口をついて出てくる。

 実はこれ、東京・赤坂にあるシャンプー専門店「Shampoo One(シャンプーワン)」が11月から始めた「熱湯シャンプー」のワンシーンなのだ。

「頭には毛細血管が集中していて、そこにお湯をかけると血行がよくなったうえに、温められた血液が全身に行き渡り、体の芯からポカポカしてきます。まるで温泉に入ったかのような気持ちになります」と同店のCEO(最高経営責任者)を務める大方純さんはいう。

ヒートテックプロテインで疲労回復効果も

 ストレスや病気で傷ついたタンパク質を修復したり、疲労物質である乳酸を取り除いたり、体を元気にするのが「ヒートテックプロテイン」。そのヒートテックプロテインを増やす一番の効果的な方法が体を温めることで、熱湯シャンプーによって疲労回復の効果が期待できる。熱湯をかけ流した後は、美容師の女性スタッフがしっかりとシャンプーをし、さらに頭皮マッサージまでしくれる。所要時間は約25分で、料金は2500円(税別)。「1日平均の来客数は約30人なのですが、そのうち10人ほどの方が熱湯シャンプーを選ばれます」と大方さんはいう。

 2年前に福岡で産声をあげた同店が、2軒目の出店先に選んだのが東京・赤坂で9月にオープンした。シャンプーのみのコースだと10分で1000円(税別)からとリーズナブな料金設定で、「これから彼女とデートなんだけれども、昨晩遅く帰宅してお風呂に入れず、頭を洗っていない。髪の毛の臭いがきになって仕方がない」というような人に重宝がられ、口コミで利用者がじわじわと増えてきた。主な利用者は30〜40代のビジネスマンやOLたちだ。

「今年の6月から9月まで、かき氷を頭皮に直接揉み込む『頭皮氷結シャンプー』を行ったのですが、夏真っ盛りの7〜8月には1日40人以上の利用がありました。これと今回の熱湯シャンプーを夏と冬の定番サービスにし、残りの春と秋にも季節に合わせた新しいシャンプーを考えていくつもりです」と大方さんは話す。もしかして、またおどろおどろしいネーミングになるのかもしれない。

 しかし、怖いもの見たさというよりも、癒しを求めてシャンプーワンに足を向けてみたらどうだろう。今年の冬は大寒波が日本列島を襲うと予測されているので、とにかく体を温めたいという人にもピッタリだ。

(取材・文/松本周二 写真提供/Shampoo One)