HKT48宮脇咲良にチャンスと試練が訪れた9月17日、AKB48恒例のじゃんけん大会でのこと。

会場は日本武道館。ひと通りイベントが終わると、キングレコードの湯浅順司氏が正装で登場した。AKB48 38thシングルの選抜メンバーをサプライズ発表するためだ。場内のざわめきを驚きの声に変えたのは、このひと言だった。

「HKT48チームK?、AKB48チームA兼任、宮脇咲良!」

それは、渡辺麻友とともにAKB48のWセンター、つまりグループの?顔?に指名された歴史的瞬間だった。

今回、10月31日発売の「FLASHスペシャル グラビアBEST秋号」では宮脇咲良の証言を元に、AKB48センターへの想いを聞いている。

「信じられなかったです。私には絶対に無理って思いました。まずHKT48のセンターになったこともないのに、いきなりAKB48のセンターになれだなんて…。嬉しさではなく、驚きのあまり大号泣でした」

泣いている新センターのもとに駆け寄ったのは、宮脇よりも先に名前が呼ばれていた渡辺麻友だった。今年の選抜総選挙で1位になり、センターとしてまばゆいばかりの輝きを放ちはじめた麻友が、先輩としての優しさを見せてくれたのだ。

「麻友さんは『大丈夫だよ。私がいるから』とずっと声をかけてくれました。ぱるる(島崎遥香)さんも寄って来てくれて、『泣いたらブスになるよ』って(笑)。さっしー(指原莉乃)もじゃんけん大会中継の実況席から駆けつけてくれました。そうこうしてるうちに、HKT48の(森保)まどかとはるっぴ(兒玉遥)も選抜として呼ばれたので、やっと嬉しさがこみ上げてきました。仲間が近くにいて、安心したんでしょうね」

そのころ、鹿児島県の宮脇家ではちょっとした騒動になっていた。

「選抜発表の様子が生中継されていた『スカパー!』を観ていたおばあちゃんは泣いたみたいです。いろんな人に『いま観た? センターだよ!』って電話したらしいです(笑)。お母さんは『冗談やめてよ』と信じてくれなかったようです。それはそうですよね。いきなり自分の娘がセンターになったと言われても、誰も信じないと思います」

嬉しさもある。が、同時にプレッシャーもある。

「HKT48に入る前にテレビで見ていたAKB48のセンターに私が立つなんて、信じられません。でも、HKT48をさっしーと一緒に引っ張っていきたいと思っているんです。そのためにも、私のことを知ってくださった方が、『あのコは誰だろう』と興味を持っていただけたら嬉しいです。アイドルがあまり好きじゃない方にも、興味を持っていただきたいんです。だって、昔の私がそうだったから−」
(写真/野澤亘伸、スタイリング/八杉直美、ヘアメイク/白石久美子)