ラテもケーキも″飲み食いし放題″のカフェがパリで話題! さっそく行ってみた

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フランス人にとって、カフェは生活の一部だ。ふらりと立ち寄りコーヒーを飲むことはもちろん、時間をつぶしたり、なじみの人としゃべったりする。どんな小さな村にも大抵1軒カフェはあって、地域コミュニティの中心的な役割を担っている。

加えてフランス人はケチである。パリだと2ユーロ(約270円)前後の一番安いエスプレッソ1杯で延々粘り、友人たちと話に花を咲かせる。長居し過ぎても悪いと思わないし、思う人もいるかもしれないがそこで空気を読んで店から出る人はまれだ。

最近のパリでは猫カフェをはじめ、さまざまな形態のカフェが増えてきた。そのなかで最近注目を浴びている店が、時間制で料金を取る代わりに店内をセルフサービスにして、飲食し放題にしたコンセプトのカフェ「アンチカフェ」だ。一体どのような場所なのか? 実際に行ってみた。

料金は入店し、レジでカードを渡されると、そこから発生する仕組みだ。価格は1時間4ユーロ(約540円)。それ以降は1時間毎に3ユーロ(約410円)追加される。1日14ユーロ(約1900円)、1カ月200ユーロ(約2万7千円)の一定期間で契約する方法もある。

飲み物はコーヒーだけでも、カフェ(エスプレッソ)、カフェ・ノワゼット(エスプレッソにミルクを付けたもの)、カフェ・アロンジェ(日本でいう普通のコーヒー)、カフェラテ、カプチーノ、モカ、ラテマキアート・キャラメルの8種類ある。デカフェにも対応してくれる。

紅茶もブレックファースト、アールグレイ、バニラ、カモミールなど11種類から注文でき、ホットチョコレートもある。冷たい飲み物はレモネード、ミント水、オレンジジュースなど7種類。温かいものは店員が作り、冷たいものは各自で注ぐ。

食べ物はクラッカーやクッキー、パウンドケーキなど、スナック類が中心だ。ちゃんと食べたい時は少々寂しいが、食べ物の外部からの持ち込みが自由なので、スナック類でお腹が満たされない際は近所で買ってくればいい。ちなみにドリンクも、アルコール以外であれば持ち込み自由である。

店内は地上階と地階の2階に分かれている。客層は30歳前後の人々が多かった。おしゃべりに同店を訪れる人がいる一方で、無料でWi-Fiがつながるためパソコンを持ち込み、コーワキングスペースとして使う人もいる。まとまった人数が座れる大きめ机では、ミーティングを開いているグループもいた。印刷やコピーもできるし、チェスやボードゲームも貸し出す。多くの用途に使えそうだ。同店によれば、人と人とが出会うきっかけを提供できるスペースにしたいという。

この新しいコンセプトのカフェを24歳という若さで開いたのが、ウクライナ系フランス人のレオニードさん。現在パリに3店舗、ローマに1店舗ある。じつはパリにできる以前にも、モスクワとロンドンではすでに同コンセプトのカフェはできていた。独自のカフェ文化が根付くフランスでも、アンチカフェの評判は良いという。飲食にお金を払うのではなくスペースとその時間に払うという考え方が、今ヨーロッパの都市部で広がりつつあるようだ。
(加藤亨延)