復活したレトロ新しい「幸せの観覧車」(1周300円)。オープニングイベントにかけつけたSHELLYさん、LiLiCoさんと東急不動産の三枝利行代表取締役社長

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かつては多くのデパートの屋上にあった「屋上遊園地」も、今は数えるほど。遊園地の花形であった屋上観覧車にいたっては、もはや日本に数台しかない(ビルに設置されているビルトイン観覧車はのぞく)。

言葉の響きにも昭和の香りがプンプン漂い、もはや絶滅も時間の問題かと思われていた屋上観覧車だが、なんと10月9日、都内で唯一の屋上観覧車が復活した。場所は東京・蒲田の「東急プラザ 蒲田」(東京・蒲田)。同施設は約半年かけて大規模リニューアルを実施。観覧車の復活をはじめ、屋上全体がエンターテインメント性の高いスペースに生まれ変わったのだという。いったいどんな空間なのか? 早速行ってみた。

「かまたえん」と名付けられた屋上のプレイスペースでは、高さ約13メートルのかわいらしい観覧車がドドンと出迎えてくれた。名前は公募で決まったという「幸せの観覧車」。ピカピカのカラーリングに新しさを感じるものの、レトロなデザインにキュンとくる。4人乗り×9台で、約3分半で一周というミニサイズだが、屋上にあるので眺めもいい。

同店では、開業当初の1968年から「屋上観覧車」を設置。今年春にリニューアルのために一時閉店するまでの約46年間、地域の人々に愛され続けてきた。初代の通称は「お城観覧車」といい、1989年に2代目の「グレ太の観覧車 フラワーホイール」にバトンタッチ。3月の閉店後は多くのお客さんから復活をのぞむ手紙が届き、要望に応えるかたちで復活が決定。今回のリニューアルでは、ボディはそのままに、カラーリングを変更、電飾を電球からLEDにした。また、チケット売り場や台など、本体周辺も変えたそうだ。

かまたえん内には幸せの観覧車の他にも、親子で交通ごっこが体験できる「エコライド」や、飛び跳ねて遊ぶ空気膜遊具「風の丘」、アメリカンテイストのカーニバルゲームが楽しめる「プラザカーニバル」などがあり、ファミリーにはぴったりの遊び場。また、世界最小のマイクロEVキッチンカーが提供する飲食スペースもあり、2015年夏にはビアガーデンも開催予定など、大人がうれしい要素もいっぱい。いまどきの雰囲気と観覧車が醸す懐かしいムードがほどよく同居する空間は、毎日でも通いたくなりそう。

「東急プラザ 蒲田」総支配人の金子滋さんいわく、リニューアルにあたり、地域分析に加え、顧客分析にも力を入れたという。
「改めで気付いたのは、ここのお客様は本当に蒲田という街が好きだということでした。そして、この蒲田という場所に、たくさんの思い出を持っている。だったら、もっと好きになってもらって、これからももっと思い出を残してもらいたい」
そんな思いでリニューアル計画をスタートし、要望の多かった屋上の観覧車も残すことに決めたそうだ。

ちなみに蒲田ときいて、『蒲田行進曲』を思い浮かべるコネタ読者はもうあまりいないのかもしれないが、最近は再開発も進み、街のイメージも変化している。『東京ウォーカー』(2010年度)が実施した「住んでよかった街ランキング」では、下北沢や自由が丘などの人気エリアを押しのけて、なんと6位にランクインしているほど!

蒲田駅の一日の乗降客数は42万人。駅直結のアクセスの良さから、地元の人はもちろん、駅利用者が立ち寄るにも便利な同施設。都内唯一の屋上観覧車、ぜひ乗りに行ってみては?
(古屋江美子)