映画『青鬼』の原作となったフリーゲーム

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AKBの入山杏奈が主演を務めた映画『青鬼』、月刊コミックジーンで連載中のコミック『霧雨が降る森』。どちらも制作発表と同時に、TwitterなどのSNSで話題となり、注目を集めた作品である。その効果もあり、『青鬼』は初日2日間で上映された9館すべての上映回が満席という好スタートを切った。

実はこの2作品には共通点がある。それは、これらの原作が“フリーゲーム”であること。フリーゲームは、中高生を中心に人気を集め、新しいムーブメントを起こしつつある。

そもそもフリーゲームとは、パソコンにダウンロードすれば誰でも無料で遊ぶことが出来るゲームのこと。そのほとんどはゲーム会社から出ているものでもなければ、ゲームクリエイターが作っているものでもない。フリーゲームは、ごく一般の人の手によって制作されていることが多いのだ。そのため、フリーゲームでありがちな「課金システム」がなく、最後まで無料でプレイ出来るのが特徴だ。

最後まで無料で安心してプレイ出来るという手軽さが、多くのファンを魅了しているようだ。

また、新しい自己表現の場としても、フリーゲームは一役買っている。今年8月に小説化が決定した『クロエのレクイエム』というゲーム。

その制作グループ「ブリキの時計」は、なんと、16歳と19歳の女の子二人組。彼女たちは自身のイラストや曲でゲームを作り上げ、その独特な世界観で人々を驚かせた。イラストや小説で自分の世界観をあらわす人は珍しくなくなってきているが、彼女たちはそれをゲームのなかであらわしたのだ。

またフリーゲームのなかでも、ひときわ人気なのがホラージャンル。
動画サイトでの実況プレイ動画は数多くアップされており、人気ランキングには必ずと言っていいほどフリーホラーゲームの姿がある。最近では、先に挙げた『青鬼』や『クロエのレクイエム』と同じように、漫画化や小説化などのメディアミックスがされることも珍しくはない。

ちなみに、このようなホラーゲーム作品は“謎解き”がメインで物語が進行していくことが多い。そのため、今までRPGのような戦闘系ゲームが苦手だった人も、抵抗なくプレイすることが出来る。謎を解いたときの爽快感や感動的なストーリーにはついつい夢中になってしまう。

一般人が作ったゲームだからとあなどってはいけない。プレイしている人のなかには「まるで本格推理小説を読んでいるみたいに、問題を解きながら、考えながら進んでいく」と言う人もいるほど、クオリティの高い作品が多い。

動画サイトで話題になり、映画・小説化がされていく。こうした一連の流れは、ここ数年で頻繁におこっているボカロ小説ブームと重なるところも多いだろう。一体、このフリーゲームブームはどのような成長を遂げるのだろう。今後の動きからも目が離せない!
(ろっくまん)