「花子とアン」スピンオフスペシャル『朝市の嫁さん』は、BSプレミアムにて、10月18日(土)午後7:30〜8:59放送。本編では描かれなかった吉太郎と醍醐の関係、宇田川と別れた夫の関係なども描かれる。

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9月27日に最終回を終えた朝ドラ『花子とアン』(NHK)。ドラマの余韻が続くなか、10月18日(土)には、スピンオフドラマが放送される。

タイトルは「朝市の嫁さん」。その名の通り、ヒロイン・花子を一途に思い続けていた純情な幼馴染・朝市(窪田正孝)が主役となり、彼と「嫁さん」の物語が描かれる。

蓮子や伝助、醍醐亜矢子など、魅力的で濃厚なキャラが多数いたなか、朝市でスピンオフを作ろうと思ったのは何故なのか。チーフプロデューサー・加賀田透さんに聞いた。

「スピンオフを作ることになり、誰の話にしようかと考えたとき、視聴者のみなさんから『朝市にも幸せになってほしい』という多くの思いが寄せられたことから、朝市の物語にしようと決めました」

思えば、本編の序盤〜中盤まではドラマ放送時・放送後にツイッターなどでやたらと呟かれまくっていたのが、この「朝市」の名前だった。
「ヒロインを見守り続ける幼馴染」というのは、朝ドラのひとつの定番キャラであり、『梅ちゃん先生』の信郎(松坂桃李)を除くと、たいてい結ばれないという展開もお約束になっている。
『花子とアン』の場合は、ヒロインのモデルとなった人物がいて、やがて結婚する相手も最初からわかっているだけに、朝市と結ばれないことは自明の理だ。にもかかわらず、朝市への視聴者たちの愛は異常に盛り上がりを見せた。あるいは、「報われないことがわかっている愛」だからこそ、視聴者が肩入れし、応援したくなったのだろうか。
もちろん朝市を演じた俳優・窪田正孝さんの魅力も大きかったのだろう。

それにしても、意外だったのは、本編において、朝市がヒロインに自分の思いを伝えるシーンが最後までなかったこと。
さらに、朝市が生涯独身を貫いたわけでもなく、あっさり結婚を決めた相手は、全く知らない女性だったことも、視聴者に大きな驚きを与えた。
「『妹・かよと結ばれるのか』『(ヒロインの親友)醍醐さんと結ばれるのか』など、視聴者の皆さんの間で様々な予想が出ていましたが、スタッフの中では、あれだけ長い間ヒロイン・はな一筋できた朝市が、その妹や親友と一緒になるというのはどうにも腹に落ちない部分がありました。だから、関係ない人と一緒になるんだろうなというのは、スタッフみんなの見解としてあったんです」

女性たちが熱狂した「朝市」というキャラクターは、原案には登場しないドラマのオリジナルキャラだが、それだけに結末は決まっていなかったそう。
「朝市が一時的ではなく、本格的に上京し、東京に住むという案もありました。でも、朝市というキャラを考えたとき、おそらくそうじゃない、甲府で子供たちにずっと教え続けるんじゃないかと思ったんです」

本編では、40歳になった朝市が、花子に結婚が決まった報告をするために甲府から上京する。だが、実はこのとき、朝市の結婚相手・ちづ江(石橋杏奈)も、朝市が思いを寄せた花子がどんな女性かを知るために東京に来ていたというのが、スピンオフの物語の始まりだ。
「一途に思い続けていた相手に思いを一度も告げないまま、突然全く別の相手と結婚する」というのは、実は現実にもありそうな話。視聴者は驚きを感じつつ、「それも朝市らしい」と感じたはずだ。

毎朝、朝市の報われない愛に切ないトキメキを感じていた女性の皆さん、どうぞお見逃しなく。
(田幸和歌子)

※「花子とアン」総集編 【総合】10月13日(月・祝)
<前編>「こぴっと、青春」午前 8:15〜8:59(44分) 9:05〜9:59(54分)
<後編>「思いよ、届け!」午前10:05〜11:34(89分)