「八百万の神」とは800万柱の神様がいるということではなく、自然のものには全て神が宿っているので、無数の神様が存在するということを表しています。京都・嵐山にある虚空蔵法輪寺の境内には、電気・電波の祖神である電電明神を祀った「電電宮」があるということで、お参りしてきました。

法輪寺 電電宮

http://www2.ocn.ne.jp/~horinji/dendengu/index.html

最寄り駅は阪急嵐山駅。嵐山は京都を代表する観光地の1つなので、駅前広場が広く作られています。



駅周辺はこんな感じ、駅の北西に渡月橋があります。

駅から西の方を眺めると山並みが連なっていて、その麓に近い位置に法輪寺があります。この写真中、中央に写っているマンションの左側に屋根だけ見えているのが法輪寺。



駅前に案内があるとおり、法輪寺までは徒歩5分弱。



これが法輪寺の入口。向かいに「タイムズ嵐山渡月橋第2」がありますが、参拝者用の駐車場も設けられています(駐車料金:1000円)。



法輪寺は713年、元明天皇の勅願により行基が創建した、真言宗五智教団の京都本山。当時は葛井寺という名前で、829年に空海の弟子・道昌が中興して虚空蔵菩薩を安置、874年に伽藍が整えられ「法輪寺」という名前になりました。ちなみに、承和年間(834年〜847年)に、仁明天皇の勅願を受けた道昌が大堰川(桂川)に「法輪寺橋」をかけ、この橋を見た亀山上皇の感想から「渡月橋」の名が使われるようになりました。現在の渡月橋はこのときの橋とは別で、角倉了以 がかけ直したものだそうです。





道から一本入っただけで雰囲気ががらっと変わります。



中へ入っていくと……



右手側にあるのが「電電塔」。





これは、電気電波の発展の礎を築いたエジソンとヘルツの功を表彰し、先覚功労者の霊を慰めるために建てられたもの。



壁面にはエジソンと……



ヘルツの胸額が埋め込まれています。



さらに境内の階段を上がっていくと……



途中、法輪寺電電宮護持会の名前がずらり。電気電波の神様ということで、パナソニック・日本放送協会大阪放送局(NHK)・西日本電信電話(NTT西日本)・京都放送(KBS京都)・関西電力・毎日放送(MBS)・朝日放送(ABC)・関西テレビ・NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクなど、電気・放送・通信関係の会社の名前が並んでいます。



本堂へはさらに階段を上りますが、電電宮は途中を左へ入ったところにあります。



こちらが電電宮。



法輪寺の本尊が自然現象を広く包括する虚空蔵尊であることから、鎮守社には明星天子・雨宝童子・電電明神など、自然に関連した神々が祀られてきました。



その中でも、電電明神は雷・稲妻の神様であることから、現代的に解釈すると「電気祖神」「電波祖神」だといえるので、電電明神を祀っている電電宮は電気・電波などを守護する鎮守社だといえます。



電電宮は幕末に焼失していましたが、1956年に当時の近畿電波管理局長だった平林金之助氏が、今後は電波利用が増えることになると主張して仮宮を再建し、電電塔を建立。1969年には大阪万博を記念して、社殿の再建がなされました。



電電宮と同じく、本堂も蛤御門の変のあとの戦闘で焼失しましたが、1884年に再建され、1914年にようやく客殿・回廊・山門などが元通りになって今の姿になりました。



ここにはヤギがいて……



うるしの碑が建っています。



本堂の左右を守るのは牛と……



虎。



本堂に向かって右手側の門をくぐると展望台のような場所があり……



渡月橋と桂川が見えます。



東を向くとこんな感じ、正面の茶色いマンションの右側に少しスペースが空いている部分が、嵐山駅そばの駐車場。このちょっと向こう側に阪急嵐山駅があります。



さらに遠方には京都タワーも見えます。こうして京都の外れから見ると、本当に京都市内には高い建物がまったくないというのがわかります。



階段を下り、帰りは別のルートを通ることに。



少し渡月橋の方へ歩いてから、川沿いを嵐山駅へ向かうとクレーンで船をつり上げているところに遭遇。



これは保津川下りで使った船を回収しているところ。



このあと、トラックで上流へ持っていき、また川下りに使うわけです。



嵐山には世界遺産「古都京都の文化財」に含まれる天龍寺や、「千灯供養」で知られる化野念仏寺、渡月橋などいろいろ見るところがありますが、電波・放送・通信関係に携わっているなら、電電宮に立ち寄るというのもありではないでしょうか。

なお、このような安全お守りや情報安全護符(ステッカー)が販売されているので、スマートフォンやPCに貼っておくとなんとなく安心かも。