鳴門vs花巻東 破壊力健在!鳴門が11得点で花巻東に快勝!
【4番の伊勢隼人(鳴門)】
破壊力健在!鳴門が11得点で花巻東に快勝!
甲子園でも強打を見せた鳴門。強打のチームと印象付けたが、国体でもその破壊力は健在で、選手権ベスト4の花巻東を圧倒した。
1回表、1番中野 勇輝(3年)が二塁内野安打、2番甲本 裕次郎(3年)が犠打で一死二塁として3番河野 祐斗(3年)が直球を捉え、右中間を破る二塁打。甲子園が終わっても健在の強打である。そして4番伊勢 隼人(3年)が真ん中に入ったスライダーを捉え中前安打。そして5番の松本 高徳(3年)が中前安打を放ち、2点目。6番日下 大輝(3年)は直球を捉え左犠飛。いきなり3点を先制し、1年生左腕・菅 良磨に大きな援護点を与えた。
2回表、二死二塁から甲野が右前安打で1点を追加し、4対0。甲本は二塁へ。河野は中前安打で、二死一、二塁。ここで中里 優介(3年)は交代。中里は140キロ台を投げていた甲子園と比べると、130キロ台に落ちたとはいえ、中里から6安打を打つ鳴門打線の破壊力に驚かされた。
鳴門打線は2番手の185センチの長身左腕・河野 幹(3年)も打ち崩す。河野はサイド気味だが、長いリーチを生かしながら投げるので、横の角度が武器で、130キロ〜135キロ前後を計測し、120キロ台のスライダーも良い。高校生としてはなかなか打ち崩しにくい投手なのだが、4回表、一死二、三塁から4番伊勢がスライダーを打ち返し、痛烈な2点適時打。5番松本は直球を打ち返し、右中間を破る二塁打。これで7対0。体が開かずにしっかりと待つ形ができている。
「チームでは逆方向を徹底しています」と話す松本。逆方向を狙っているから体が開かずにしっかりとボールを呼び込むことができており、左腕投手の軌道に戸惑うことなく、ボールを打ち返すことができている。なかなか恐ろしい打線である。さらに前川の適時打、バッテリーミスで2点を追加し、9対0と大きくリード。【岸里(花巻東)】
攻撃の手は緩めず、8回表には松本の左前適時打、9回表には3番手としてマウンドに登った橋川 亮佑(2年)の右越え本塁打が飛び出す。
投手陣は2回の内野ゴロの間の1失点にとどめ、11対1で完勝した。花巻東に完勝した。鳴門は甲子園で花巻東に敗れているが、5番の松本はやはり花巻東に意識があったという。
「甲子園で負けていた相手ですし、花巻東さんにリベンジしようと思いで臨みました。最近、自分たちは調子が良かったので、打てる自信はありました」見事、14安打11得点の完勝である。そしてエースの板東を投げさせず、ここまで堂々の戦いができるのだから素晴らしい。鳴門の各打者のスイングスピード、打球の速さ、逆方向の打撃をチームで徹底されているチーム力の高さ、守備力の高さ。攻守ともに鍛えられており、近年の四国のチームにはない破壊力と堅実さが備わった好チームであった。
敗れた花巻東はプロ志望届を提出した岸里 亮佑(3年)が光った。第1打席では左中間へ浅い当たりを瞬足を飛ばして二塁へ。「自分の売りは走塁なので、行けるところまで行く意識でやっています。あの打球を見て二塁に行けると思って走りました」ストップウォッチで測ればどんなタイムを出していたか気になるほどの速さであった。まずあの足だけでスカウトは惹かれてしまうと思う。投手としては最速146キロを計測したが、あくまで本人は野手として試したいようだ。9回裏にも痛烈な右前安打を放ち、バットコントロールの良さも披露。また本塁打にできるパンチ力も魅力である。俊足巧打の外野手。あの第1打席で見せた積極的な走塁、気持ちをプレー全体で押し出すことができるようになれば、彼はもっと走攻守三拍子に渡ってレベルの高いプレーを見せてくれるはずだ。
(文=河嶋 宗一)
(写真=中谷 明)