最近では4人に1人が「授かり婚」で出産している

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子供ができてから結婚する「できちゃった結婚(デキ婚)」が珍しくない今日このごろ、呼び方も「おめでた婚」「授かり婚」に替わりイメージの悪さが薄まりつつある。

そんな中、「プロポーズから出産まで一気に叶える!授かり婚はこんなにスバラシイ!」という大胆な見出しが女性誌に登場した。インターネット上では「さすがに推奨するのはどうなのか」と物議を醸している。

アラサーには特にオススメ」と授かり婚推奨

授かり婚の記事が掲載されているのは、「男が結婚を決める理由」をテーマにした「an・an」最新号(2013年9月25日発売)。今、結婚したい男性が増えているとして、さまざまなデータとともに男心を知るヒントを紹介している。

中でも注目を集めているのが、冒頭でも紹介した「授かり婚」特集だ。誌面ではメリットとして(1)結婚の覚悟が即できる(2)結婚と出産、Wのオメデタ(3)すぐに家族の絆が生まれる(4)周囲に祝福してもらいやすい(5)出産までの時間がスピーディー、の5点を掲げる。高齢出産の身体的負担を考えると、タイムロスが少ない授かり婚はアラサー(30歳前後)女子にとって大きなメリットになるとも指摘する。「基礎体温をつける」「半同棲して避妊は気にしない」など成功のコツも伝授した。

厚生労働省の調査によると、嫡出第1子出生のうち、結婚期間が妊娠期間より短い出生(=授かり婚)の占める割合は25.3%(平成21年)。第1子を出産する人の約4人に1人が授かり婚での出産ということになる。最近では「授かり婚」のカップルに特化した結婚情報サービスまで登場し、an・anのいうとおり「授かり婚」が定着してきていることは確かだ。

しかし、いくら市民権を得ているとはいえ、積極的に推進することに対しては違和感を持つ人も少なくない。発売後、インターネット上では「なんかもう世の中こんなことになってんの?と思い、驚愕」「・・・喧嘩売ってるんですかね」「危機管理能力がこれから先さらに求められるようになりそうですね。男性のみなさん頑張ってください」「でき婚と授かりは計画性があるかないかで違うとかいいながら彼氏が決断してくれないなら授かりを狙いましょう的な推奨文で心底気持ち悪いと思った」といったコメントがいくつもあがった。

「さりげなく合意」で大丈夫?

記事内には「『できたら結婚しよう』とさりげなく合意しておく」との記述もあるが、こうしたカジュアルさも批判の的になっているようだ。「授かり婚」の問題のひとつとしてよく指摘されるものに、離婚率の高さがある。「女性自身」が12年3月に行った授かり婚経験者100人へのアンケート調査では、100人中17人が離婚、12人が現在離婚を考えているという結果に。平均結婚生活期間は5年だったという。この結果をみると「an・an」のいうように、できたら結婚しようと「さりげなく」合意しておくだけでは少し不安も残る。

女性の側も、しっかりした心構えが必要になる。相手の男性に正面から「結婚」「子作り」を申し込まない以上、結婚資金や出産費用などをどこまで一緒に貯められるか不明瞭だ。また、東京・六本木にある「アヴェニューウィメンズクリニック」院長の福山千代子さん(日本産科婦人科学会専門医)は、「最近では、もともと望んでいた女性が結婚前に妊娠したというケースが多い印象。一言に『授かり婚』だから問題ということはないと思います」と授かり婚への理解を示すものの、「予想外の妊娠になるため、つわりがひどくなったり、急な結婚式の準備でバタバタしたりという心配はありますが」と付け足す。その上で「子宮筋腫など妊娠前に手術したほうがいい病気にかかっている場合があるので、しっかり検診を受けることが重要です」とアドバイスしている。