習志野vs検見川 振ればヒット、猛打爆発の習志野打線、5回コールド勝ち
習志野・石田君
ベスト8対決だったが、思わぬ展開の試合になってしまった。どうかすると、こういったことになってしまうという、高校野球の怖さを改めて思い知らされた試合でもあった。
結果的には習志野が5回コールドゲーム、12安打で14得点。5本の長打。なかんずく、3回は5番に入っていた背番号20の野中君以下、國吉君、矢口君の3連続も含む4本の長打と検見川投手陣の乱れもあって、打者15人の猛攻撃で、ビックイニングとした。
正直、試合そのものの興味はそこで尽きた。
それにしても、準々決勝になってこれだけ打線が爆発するとは、小林徹監督もいささかビックリという表情だった。「不思議ですねぇ、えっ! お前も打っちゃうの…? みたいな感じになっちゃってね」と、それこそ想定以上の爆発にビックリしながらも、チームそのもののムードが上へ向いているということは実感しているという感じでもあった。
秋の新チームというのは、こうして試合をしていくうちに、チーム自体がどんどんと変わっていくということもよくあるケースだ。やはり、選手たちが経験を積んでいくことで、それが自信となっていくと、ときにしきかんのおもっていたいじょうに選手もチームも成長していくことがある。この秋の習志野は、そんな途上にあるといってもいいのかもしれない。 小林監督も、「これまでは、バットを振れませんでしたからね。振っていかないことにはヒットは出ませんから。今日は、振ったところへたまたま結果としてヒットになったということじゃないでしょうか」と、控えめに言いつつも、思っていた以上に選手たちが自信をつけてきていることは実感している様子だった。
ただ、守りでは初回には先発の佐藤辰君も力みがあって、球がバラついていたし、失策もあってピンチも迎えた。佐藤辰君は投げていきながら徐々に自分のリズムをつかんでいったというところであろうか。佐藤辰君自身、この秋は初先発ということもあって、立ち上がりの力みが出たのかもしれない。
検見川としては、その初回に得点できなかったのが痛かった。先制していればまた、試合そのものの流れも違っていたであろう。2回、3回に見せた積極的な攻撃、内野安打で二塁走者が思い切って本塁に帰ってくるという走塁などは目を見張らせるものがあったが、投手陣が習志野打線を抑えきれなかった。 松田純監督は大橋君から、大野君、粕谷君、左の黒沢君、船木君と5人の投手をつぎ込んでかわそうとしたが、かわしきれなかった。前日は西武台千葉を下していたのだが、その勢いを持ってこられなかった。
(文=手束 仁)