柴田vs利府 柴田が25年ぶりの東北大会出場
柴田が6—5で利府を下し、25年ぶり2度目の東北大会出場を決めた。
柴田は準決勝まで1番を打っていた小田将伍を7番に置き、7番を打っていた庄司倖太朗を1番にと打順を入れ替えて臨んだ。利府の先発は前日の準決勝で登板のなかったエース左腕・山内望。スピードはないが、コントロールがよく変化球でカウントを取れる。立ち上がりのいい印象があったが、この日は初回に飲まれた。
1回表、柴田は1番・庄司が四球で歩き、2番・葛西健斗が犠打を決めると、3番・佐藤 弘基が左翼線に先制タイムリーを放った。4番・宗片直輝のセカンドゴロの間に三塁に進み、5番・松崎賢太は四球で二死一、三塁。6番・佐藤優悟はセカンドゴロだったが、人工芝でバウンドが大きくはね、利府のセカンド・濱田恵多がエラー。1点が入った。7番・小田は振り逃げとなり、二死満塁で8番・中野大成がセンター前に弾き返し、三走・松崎に続いて二走・佐藤優もホームへ。9番で先発投手の及川大輝は空振り三振に倒れたが、打者9人で4点を奪う猛攻を見せた。
さらに2回、1番・庄司がライト前ヒットを放つと、2番・葛西はバント。この打球がピッチャーの横を抜けて内野安打。3番・佐藤弘が犠打で一死二、三塁で4番・宗片がライト前に2点タイムリーを放ち、6—0とリードを広げた。
その裏、利府は4番・鈴木祐人がセンター前ヒットを放ち、5番・上野幹太は犠打。ここから6番・小野恵太がサード内野安打、7番・葛巻孝太がライト前ヒットと連打が飛び出し、一死満塁とチャンスを作った。しかし、8番・後藤剛仁は内角直球に空振り三振。9番・山内は見逃し三振に倒れ、無得点に終わった。
3回表、柴田の攻撃で利府の山内がキャッチャーフライ、ピッチャーライナー、セカンドゴロと三者凡退に抑えると、その裏、打線が援護した。1番・万城目 晃太がファーストゴロ、2番・濱田恵多がサードゴロに倒れ二死となったが、3番・竹内幹哉がレフト前ヒットを放つと、2球目にキャッチャーがボールを見失っている間に二盗。4番・鈴木がライト前にヒットを放ち、1点を返した。さらに5番・上野がライト前ヒットで続き、6番・小野が四球で二死満塁。7番・葛巻の打球はレフトに上がると、センターからホームに吹いていた風に押し戻されたのか、レフト前にポトリ。2人が生還した。
利府は4回に追加点を挙げた。先頭の山内の打球はレフトに抜けそうだったが、柴田のサード・中野が捕球して一塁に送球するも逸れてセーフ。1番・万城目が四球(一塁へ全力疾走)、2番・濱田は初球をバントすると、ピッチャーとサードの間に転がり、捕球した利府の先発・及川がサードに投げようとしたがサードは空いていて内野安打に。無死満塁となり、柴田はタイムを入れた。ひと呼吸をおいた柴田。利府の打者は3番・竹内。前の打席ではレフトへヒットを放ち、得点の足がかりを作った。ここは空振り三振に倒れたが、続く4番・鈴木がレフト前タイムリー。なおも一死満塁で畳み掛けたい利府。5番・上野はカウント2—2でスクイズを試みたが、打球はピッチャーの目の前に転がり、ホームで三走・万城目はアウト。左打者の上野は外角のボールにバットを当てたため、フェアグラウンドに打球を転がしたものの体制を崩しており、そのままキャッチャーの宗片にタッチされてアウトとなった。
2回まで6得点と攻撃の流れがあった柴田だったが、3回以降、利府の山内の前にチャンスを生かせない。6回の無死二塁で1番・庄司がレフト前にヒットを放ったが、二走・及川がホームタッチアウト。レフトが前に詰めてきていたため、三塁コーチャーが止めるべきだった。次の1点が奪えない焦りが表れた場面だった。
柴田はその裏からエース右腕・佐藤大地を投入。6回こそ三者凡退に抑えたが、7回、この回、先頭の上野がレフトへヒットを放つ。打球のバウンドが変わり、打球は転々とフェンスへ。その間に上野は三塁へ。無死から三塁打でチャンスを作った。さらに6番・小野がカウント2—2から5球連続ファウルで粘り、1ボールを挟んで再びファウルを打った後、四球を選んだ。無死一、三塁で7番・葛巻がセカンドゴロゲッツーになったが、その間に三走・上野がホームイン。利府が1点差に迫った。
柴田は9回、一死から3番・佐藤弘がセンター前、4番・宗片がライト前と連続でヒットを放ったが、後続が倒れて無得点。
6点あったリードが1点となって9回裏を迎えた。
思えば、夏の宮城大会。柴田は仙台育英との決勝で初回に5点を奪うも、徐々に追い上げられ、1点リードで迎えた9回裏にサヨナラ押し出しで敗れた。展開は似ている。
利府は4番・鈴木が先頭だった。6回から登板している佐藤大が許したヒットは、失点した7回の5番・上野の三塁打のみ。鈴木をサードゴロに打ち取ると、三塁を浴びている上野をレフトライナーに抑え、6番・小野の打球はサードへ。サード・中野が大事に捕球するとしっかりとステップを踏んで一塁へ送球。ファースト・佐藤優ががっちりとつかんでゲームセット。柴田ナインは佐藤大に駆け寄り、喜びを爆発させた。
柴田は1988年に準優勝して以来、実に25年ぶりの秋季東北大会出場を決めた。2008年、2011年と優勝している利府は1点差まで追い上げたが、2年ぶりの東北大会出場はならなかった。
(文=高橋 昌江)