榮 浩平(大島北)

36分間の成長・大島北

 樟南が19安打13得点の猛打を浴びせ、格の違いを見せた一方で、9人チームの大島北も意地を示した一戦だった。

 最後は打ち込まれてコールド負けだったが、大島北・山下将貴監督は「少しでも長く、鴨池で野球をやりたいという気持ちが出ていた」ことに手応えを感じていた。

 初回にいきなり打者一巡の猛攻で6安打を浴び、5点を奪われた。1年生7人の9人チームと、夏の甲子園代表校との力の差は明らかだったが「9人でも、最後まであきらめない気持ちを持ち続けようと1人1人の声が途切れなかった」と先発した左腕・盛 龍太郎(2年)は言う。

 3回に2番・豊田 翔(1年)のライト前タイムリーで口火を切り、4回には「コールドを阻止しようと無我夢中だった」4番・榮 浩平(1年)が二塁打を放ち、盛が右中間三塁打で続く。マウンドは初回でKOされた盛だが「気持ちを切り替え、何も考えず無心で振った。うまく風に乗ってくれた」。6番・且 零士(1年)にもセンター前タイムリーが出て、3連打で2点を加えた。「何点差があろうと、怖いもの知らずに向かっていく。持ち味を素直に出せるようになった」と山下監督は感じた。

 2回からリリーフした榮は「1人1人の振りがすごかった」と相手の力に脱帽するも「0点で抑えたイニングもあって、自信になった」という。約2カ月前の夏は、鹿児島南を相手に5回コールド負け。(2013年07月07日)安打1、試合時間わずか1時間4分で一方的に押し切られた。この日も9回までやり切ることはできなかったが、樟南から3点を奪い、試合時間は1時間40分だった。36分間、伸びた分だけ、ナインが確かに成長していることを物語っていた。

(文=政 純一郎)