先発した山内(利府)

利府がコールド勝ちで準決勝へ

夏の宮城大会2回戦と同じ顔合わせとなった。

7月16日、第2シードだった利府は2対3で敗れ、1997年以来の初戦敗退を喫した。白石工にとっては大金星だった。互いに新チームとなり、利府にとっても、白石工にとっても特別な意識のある試合は利府のコールド勝ちという結果になった。

利府の先発はエース左腕・山内望。スピードはないものの、制球がよく変化球でカウントを整えられる。初回に二死から内野安打を許したものの、ゼロに抑えて上々の滑り出しを見せた。

白石工の先発は勅使瓦浩大。制球はよくないが、140キロを超える直球を持つという噂があった。この日は調子がよくないようで、球速はそんなに出ていないように見えた。制球難においては、ことごとく捕手の構えたところと逆に行ってしまう。利府の1番・万城目 晃太を空振り三振にとったものの、甘く入ったボールを打ち返され、連打を浴びて初回に3点を失った。2回も失策もからんで3点を献上した。

一方、利府の山内は3回から2回までとは別人のような投球になった。コーナーを丁寧に付いていたが、なかなかストライクをとってもらえなくなり、この回、先頭の9番・斎藤 翔に四球を与えると、1番・梶川翼にライト前ヒットを許した。2番・宍戸且典の犠打で一死二、三塁。3番・佐藤武瑠のタイムリーの後、4番・澤野隼哉のセカンドゴロの間に1点を失った。

利府は3回、1番・万城目が満塁で走者一掃の二塁打と放つなど、打者9人で5点を挙げた。しかし、4回には失策、四球に安打が絡み、投手交代。代わった右腕・奈須野聖也が初球を暴投し、犠牲フライも許したが、なんとか、この回を4点に抑えた。

先発した勅使瓦(白石工)

白石工も先発・勅使瓦に代えて左腕・菊地喜彦を投入。しかし、利府の勢いは止まらず2点を追加すると、5回こそ三者凡退だったものの、6回は二死から四球と安打が続いて3得点。コールドの点差になり、ゲームセットとなった。

試合後、白石工の勅使瓦は「(夏に)利府に勝っているプレッシャーがあった」と話した。こだわりはないそうだが、速い時で「144から145キロは出たことがある」という。しかしながら、この日は力みから直球は走らず、変化球も抜けてしまった。負けられないという意識が本来の投球を忘れさせたのだろう。メンタル的な部分も大きいが、一冬を越えて、直球のスピードを生かしたピッチングができるようになっていることを楽しみにしたい。

(文=高橋 昌江)