「負けられない」帝京、本大会出場をつかむ　

試合を見守る帝京ベンチ

　帝京高校グランドで行われた第6ブロック代表決定戦。第2試合は、1回戦から貫録のコールド勝ちを重ねてきた帝京と、前試合を18対0と圧倒的な大差で勝ち上がった日大一の対戦。代表決定戦に相応しい、緊迫した一戦となった。

　3回裏、日大一は2番・徳井のヒット、3番・松木の二塁打で無死二、三塁のチャンスをつかむ。だが、帝京先発・稲下田が立ちはだかる。続く打者から2者連続で三振を奪い、さらにその後の打者を内野ゴロに打ち取る。日大一は序盤の絶好の機会を生かし切れなかった。その後もランナーは出すものの、なかなか得点に結び付けられない日大一。

　一方、ここまで日大一先発・木村に抑え込まれていた帝京は6回、死球で出塁した8番・中道を三塁まで進める。1番・佐藤がレフトへのタイムリーを放ち先制。遂に試合を動かす。

　7回裏、日大一も黙ってはいられない。一死からヒットで出塁した2番・徳井を一塁に置き、続く3番・松木がレフトフェンス直撃のタイムリー二塁打を放ち、同点。試合を振り出しに戻した。

　この日の第1試合に引き続き、2試合連続の延長戦に突入するのかと思われた9回、再び試合が動く。　帝京は一死から2番・浜田が左中間を破る二塁打で出塁。3番・安竹、4番・鈴木と連続で四球を選び、無死満塁とビックチャンスをつかむ。5番・笠井が右中間を破る2点タイムリー二塁打を放ち、勝ち越し。6番・田島も犠牲フライで1点を追加。4対1と、最終回に大きなリードを奪った。

　その裏、日大一もただでは終わらないと喰らいつく。ここまで好投を見せた9番・木村がライトへのヒットで出塁。2番・徳井のセカンドへの当たりはエラーを誘い、木村も二塁まで進み、一死一、二塁。3番・松木の鋭い当たりはセンターへ。低いライナー性の弾道、センター前へ落ちるかと思われたが、これを帝京センター・浜田がダッシュし、前のめりになりながらも捕球。さらにそのまま二塁へ送球。飛び出していた走者を刺し、ダブルプレー。試合を終わらせた。

　試合後、日大一の渡邉監督は振り返った。「9回云々というより、その前に少しでも点を取っておかないとダメですよね。（好投の）木村は今日に限らずこの1年、勝負所で投げていたので、経験的には問題ない。だから余計に、もうちょっと楽に投げさせたかったです」

　試合の出場が少なく、経験が不足しているメンバーだとのことだが、この秋の予選を通じて収穫があったという。「今回の戦いを通じて、試合になる、戦える、と少しは自信になったと思います。勝ちたいという思いが出てくれると思います。帝京はやはりそのあたりの意識が凄いです。負けられない、という。その差が出た今日の試合でした。うちも負けたくない、悔しいという気持ちが出てくれれば良いなと期待しています。このチームの課題は、技術よりも気持ちの問題ですからね」

　惜しい所で敗れ、本大会出場は逃がしたものの、経験と少しの自信を身に付けた日大一ナイン。何物にも代えがたい秋の戦いはひとまず終わり、これから鍛える季節を迎える。

（文＝編集部）