日大高が投手戦を制する

 今年は例年よりも竜巻の被害件数が多い。猛暑の今夏は、地上付近の空気が暖められて上昇し、上空の大気の状態が不安定になるケースが多かったと考えられ、これが一因と見られる。竜巻は広大な平地で発生する確率が比較的高い。日本で言えば、特に「北海道」と「関東平野」である。そして関東の中でも、水田など平坦なスペースの占める割合が高い千葉や北関東(栃木、群馬、茨城、及び埼玉北部)は竜巻の発生確率が相対的に高いと考えられる。  以前も書いたが、付近に地上から上空に伸びる「ろうと状の雲」を発見したら、速やかに避難して頂きたい。プレハブのような強度の小さい構造物の中や、風速が増す橋の下はかえって危険なため、ビルなど頑丈な建物に逃げ込むのが最善である。 

 さて、等々力球場の第2試合は、公立の雄、柏陽と、実力校の日大高の対戦となった。  柏陽は初回、先頭打者の山田が日大高の先発、右スリークォーターの中村からレフト線の2ベースを放ち、続く2番渋谷がセカンドにゴロを転がしてきっちりとランナーを進め、1死3塁とするが、3番浦野、4番川又の中軸が倒れ、先制のチャンスを逃す。 初回のピンチを脱した日大高の先発、中村は、その後、尻上がりに調子を上げ、3回以降は2塁を踏ませない安定したピッチングで、柏陽打線に凡打の山を築かせる。

 これに対し、ここまでの3試合を僅か1失点で勝ち上がってきた柏陽も先発左腕の中山が緩急を使ったピッチングで日大高打線を上手く交わしていく。試合は投手戦となってテンポ良く進み、0対0のまま5回が終了。グラウンド整備に入る。

 試合が動いたのは6回裏、日大高の攻撃。この回先頭の2番佐野がピッチャーの足元を抜けるセンター前ヒットで出塁すると、続く3番越智はセンター前にポトンと落ちるヒットを放ち、さらに4番竹村の送りバントで1死2、3塁のチャンスを迎える。そして5番藤枝の打席の初球、日大高はスクイズを仕掛けて先制。さらにファーストのエラーの間にもう一人ランナーが還ってこの回、2点が入った。先発の中村は24番という大きな背番号をつけているが、その後も危なげないエース格のピッチングでこの2点を守り切り、2対0の完封で柏陽を下してベスト8進出を決めた。

 柏陽は初回の先制のチャンスを逃したのが痛かったが、先発の中山が粘り強く完投し、日大高打線を2点に抑えた。中山は高いセットの体勢から肘を下ろさずにそのまま腕を振り上げて投げ込む独特の投球フォームで、リリースの際、手が頭の後ろに隠れるため、球の出所が見えにくい。このため、日大高打線は終始、中山を打ちあぐねた感があるが、それでも6回の好機を確実にものにしたところに試合巧者ぶりが光った。一方、柏陽は課題の打線の強化による、来年に向けたチーム力のアップが期待される。

(文:松田 祥二郎)