桐光学園vs日大藤沢 4回戦屈指の好カード、桐光が日藤を完封で下す
等々力球場の第1試合は、4回戦屈指の好カード、桐光学園VS日大藤沢。台風18号の影響で開催が本日に延期されたが、今日は台風一過の秋晴れ、気温26.5℃、湿度51%と、強い日差しに汗ばむものの、絶好の野球日和となった。
先攻は桐光学園。初回にいきなりチャンスを迎える。日大藤沢の先発、背番号11、左腕の松原からトップバッターの重村がファースト強襲のヒットで出塁。その後、送りバントで日大藤沢のベースカバーのミスが出たところに、さらに送りバントを重ね、1死2、3塁とする。しかし、ここで4番坂本、5番恩地の中軸が凡退し、先制の好機を逃す。初回のピンチを脱した松原は、その後も四死球でランナーを背負うものの、適度な荒れ球が功を奏し、桐光打線を3回まで無得点に抑える。
一方、桐光学園の先発投手は背番号10、右の山田。恩地の成長もあり、今夏は主に打撃に専念していたが、大エース松井が引退し、秋からまた本格的に投手に復帰。今日は、この大事な試合の先発を任された。山田も伸びのある速球とキレのある変化球で日大藤沢打線に得点を許さない。
試合が動いたのは4回。桐光は先頭の7番根本が四球で出塁すると、8番山田が自らレフトフェンス直撃の2ベースを放って、まず1点を先制。さらにラストバッターの竹中が確実にバントでランナーを送って1死3塁とし、1番重村のファーストゴロで3塁ランナーがホームを突いて2点目。続く2番田中の死球と3番武のライト前ヒットでランナーは1、2塁。バッターは4番坂本。ここぞとばかりに、たたみ掛ける桐光。しかし、松原は坂本をライトフライに討ち取り、この回、桐光の攻撃を2失点で凌いだ。
その裏、日大藤沢は反撃に出る。3番半場がセンターオーバーのエンタイトル・ツーベースを放ち、続く4番中村がバントで送って1死3塁のチャンス。5番紺野が三振に倒れるも、6番伊藤の死球と盗塁で2死2、3塁とチャンスは続き、バッターは6番頼住。ここで桐光の山田はストライクが入らず、カウントは3ボール、ノーストライクとなる。次の1球、頼住が外寄りの球を上手くセンター方向に打ち返す。鋭い打球はヒットかと思われたが、センター坂本が走り込んで好捕。惜しくも無得点に終わる。
さらに、続く5回も日大藤沢は1死後、9番松原が1、2塁間を破るシングル・ヒットを放ち、打順トップに還って斉藤が強振。鋭い打球は北寄り4mの風にも乗って、ライト線の2ベースとなり、走者の松原がホームに突っ込む。しかし、桐光の落ち着いた中継で本塁タッチアウト。1点が遠い。
逆にピンチを脱した桐光は、7回に武、坂本、恩地のクリーンアップの3連打で大きな3点目を追加。打線の援護を受けた山田はその後も得点を与えず、最後は代打の松下をセンターフライに討ち取り、日大藤沢を3対0の完封で下した。山田は味方の守備にも支えられて要所を締め、特に3番半場に対しては2ベースを打たれた後は、外いっぱいの球、インコースの直球で2打席連続三振に討ち取って意地を見せた。
一方の日大藤沢は、4回、5回の攻撃があと一歩だった。特に4回、頼住は2死ランナー2、3塁、カウント3ボール、ノーストライクから積極的に打ちに行き、鋭い打球を飛ばしたが、桐光の堅守に阻まれた。ただ、桐光の山田が制球に最も苦しんだこの場面で、1球待つというのも1つの手だったかもしれない。投げる方では、松原が桐光の強力打線を相手に10安打を浴びながらも、3失点に抑えて完投。先発投手としての役割を十分に果たした。
両者ともお互いに持ち味を発揮し、期待に違わぬ好ゲームだった。勝った桐光学園はベスト8進出。次の準々決勝では今大会の優勝候補の一角、横浜創学館と対戦する。
(文:松田 祥二郎)