済美vs松山北 「何兎をも追いにいく」安樂智大、階段を順調に昇る
5回表済美一死満塁で5番・宇都宮幹汰捕手(2年)が三塁打で4打数4安打5打点
5回58球5奪三振で参考ながら当人いわく「高校に入ってから初めて」のノーヒットノーラン。しかも打者は2回裏先頭打者4番の井上、甲子園3回戦・花巻東戦(2013年08月17日)以来となる四球の1名のみ。その走者も三盗失敗のため打者は15人のもの「準完全試合」。本来シード扱いは中予地区新人戦ベスト4の松山北であり、甲子園出場のため新人戦を棄権した済美はノーシード扱いにもかかわらず、坊っちゃんスタジアムは安樂 智大(2年)一色に染まった。
加えて内容も最速142キロ、大半が130キロ台に留まった済美平成戦よりも明らかに良化している。ネット裏に詰め掛けた他校スカウティング部隊のスピードガン計測によるとこの日のストレートは最速147キロを筆頭に終速差が5キロ以内の140キロ台が15球以上。122キロスライダーを選択し井上へ四球を与え、上甲正典監督から「もっと自信を持って投げろ!」と檄を飛ばされた後は2回二死から36球連続ストレートで切ってみせた。
反面、制球力への調整も怠りない。3回裏からはIBAF18U世界野球選手権で森 友哉(大阪桐蔭3年)とバッテリーを組んだ際に覚えた捕手を約3m下げる投球練習を披露。これには「あの投球練習をやった後に低めに伸びるボールが行くようになりました。よく考えていると思いました」と、5番打者として4打数4安打5打点と安樂を大いに助けた宇都宮 幹汰(2年)も舌を巻く。
その先にあるのは「分かっても打たれないストレート」の完成。そして主将として選手間ミーティングで話し合う中で大きな目標として立てた「甲子園春夏連覇」。その第一歩としてのセンバツ出場権獲得。「二兎を追うものは一兎をも得ず」とはよく言われることわざであるが、こと彼についていえば「何兎をも追いにいく」過程の階段を順調に昇っているといっても過言ではない。
(文=寺下 友徳)
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