山村学園vs星野 西部地区に巻き起こる新たな潮流
先発した藤川(山村学園)
西部地区に巻き起こる新たな潮流
山村学園は平成21年度から連盟に加盟、星野は昨年度から連盟に加盟と共に新しい高校だ。両校共に元女子高であり、星野は監督に元明徳義塾の部長の飯野氏を招聘した。山村学園の姉妹校山村国際は新人戦西部地区準優勝で秋季大会地区予選も突破し県大会出場を決めた。一方の星野高校の姉妹校は夏準優勝の川越東、他にも夏、春日部共栄、上尾を撃破した埼玉平成など西部地区の力関係は少しづつだが変わりつつある。
先発は山村学園がエースの左腕・藤川、対する星野の先発は背番号11の神庭が先発しゲームは始まる。
山村学園の藤川はオーバーハンドの投手だが、右打者の外角へ沈むボールと時折サイドからも投球するなど技巧派左腕だ。今春地区大会で聖望学園を苦しめた投手でもある。
一方、星野の神庭はオーソドックスな右腕で、目測でMAX130km前半くらいのストレートだが、伸びや威力はありそうな投手だ。1年生ながら夏のマウンドにも上がっており経験は豊富だ。
最初のチャンスを掴んだのは星野だった。3回裏、この回先頭の神庭がレフト越えの2塁打を放つと、続く武蔵が送り一死三塁とする。だが、9番・加藤が初球を打ち上げるなど後続が続かず得点を奪えない。
先制したのは山村学園だった。5回表、一死から7番・小澤がセンター前ヒットで出塁すると相手ワイルドピッチで二塁へ進む。二死後、9番・藤川のプッシュバントは投手後方へ落ちヒットとなると、さらに一、三塁から1番・堀田がライト前タイムリーを放ち、山村学園が1点を先制する。
その裏、星野も連続四球を選び無死一、二塁。さらに相手ワイルドピッチで一死ニ、三塁とチャンスは広がるが、続く武蔵の打球はピッチャーライナーで併殺となりチャンスを逸する。ここで、星野ベンチが動く。
森(星野)
夏エースだった神庭を諦め、6回表から今大会エースナンバーの森がマウンドへ上がる。だが、森はストレートが高めへ浮き制球が定まらない。二死から連続四球を出し一、二塁とされると7番・小澤にセンター前タイムリーを浴び2点目を失う。
一方の星野打線はその裏反撃をみせる。連続四球を選び無死一、二塁とすると、2番・神南がきっちりと送り一死ニ、三塁とする。ここで藤川がバランスをボークを犯し1点を失うと、3番・内村のショート後方への飛球をレフト、ショートのお見合いもありタイムリーとなり2対2の同点とする。さらに、続く戸田の犠打が相手守備エラーを誘って、一死一、三塁とするが後続が倒れ同点止まりでこの回の攻撃を終える。
だが、7回表、引き続き制球の定まらない森が連続四球を出し無死一、二塁とされた所で星野ベンチはたまらず森を諦め3番手・櫻井へスイッチする。山村学園は次打者の犠打がタイミングは微妙だったが判定はセーフで無死満塁と傷口を広げる。
ここで3番・金子の当たりはショート正面へのゴロであったが、ショートは本塁へ投げられず三塁へ送球し1点を勝ち越されると、続く内田への投球時キャッチャーのファンブルに悪送球が重なりさらに1点を失い一死三塁とされる。対する山村学園はここですぐさま内田がスクイズを決め一気に5対2とする。
結局、この7回表の3点が最後まで重く8,9回と走者こそ出すが併殺に終わり万事休す。山村学園が勝利し県大会へ駒を進めた。山村学園としては、これが初の県大会出場となる。
一方の星野は、連盟参加2年目ということもあり、全員が1、2年生の若いチームだ。新チームは好調で新人戦西部地区ベスト8に喰い込みシード校として、秋季地区大会を迎えたがこの日は若さが出てしまった。飯野イズムが浸透するにはまだまだ時間がかかりそうだ。だが、悲観することはない。既に専用グラウンドも完備し、4、5年も経つと西部地区の強豪へと生まれ変わる可能性を秘めている不気味な存在であることに変わりはないであろう。
(文=南 英博)