社vs加古川東
先発した大村竜(加古川東)
準備を重ねた社が好投手を攻略
雨の影響で当初10時開始予定だった試合が始まったのは14時22分。球場入りしてから待ち時間の長かった社・橋本監督だが、交通機関の乱れの影響で到着が大幅に遅れた加古川東を気遣いながら「しっかり気持ちの準備をして臨めた初戦でした」と5回コールド勝ちを収めた試合を振り返った。
初回、加古川東は二死から原が右中間へのヒットで出塁すると大きなリードで社先発・長尾を揺さぶる。長尾が速い牽制を続けるが間一髪で刺せない。原は自分のリード幅を把握している優秀なランナーだった。ランナーを警戒しつつも4番・北住を空振り三振に打ち取った長尾はダッシュでベンチに戻る。
1回裏、社の攻撃。スライダーが光る加古川東の好投手・大村竜を社打線が攻略出来るか。この試合最大の焦点は正にここだったが、序盤から準備に準備を重ねてきた社打線が1枚上回ることになる。
1番・辰巳がフルカウントからしぶとくセンター前へ運び出塁する。2番・麻生のバスターはセカンドへの小フライとなるが、3番・坂本の打球をセカンドがファンブルし一死一、二塁で4番・芹生を迎える。芹生は1ボール2ストライクから高めのストレート、低めの変化球を見極めフルカウントに。1球ファールを挟み7球目もボール。一死満塁とチャンスを広げた。5番・井上和も粘ってフルカウントまで持ち込み8球目、スライダーに反応すると打球はライトの頭を越えるタイムリー三塁打。試合後、橋本監督が「追い込まれながらもライトオーバー。いい当たりではないけどよくついて行ってくれた。あれが全て」と絶賛した一打で2点を先制。さらに二死後、6番・荻野が高めのストレートを上から叩いてセンター左へ弾き返し2者が生還。大村竜のビデオを何回も観て、全員でイメージして準備して来たという社打線が、いきなりの4得点で試合の主導権を握った。
初回に9人を送り込む攻撃を見せた社打線は、2回にも再びつながる。先頭の辰巳がフォアボールを選ぶと麻生、坂本の連打で無死満塁とする。 共にバントをファールにするミスがありながら結果的にはチャンスを広げることとなった。「初回の点数が勇気をくれました。流れ止めたくなかったんでバントをバスターにしたりエンドランにしたりしました」という橋本監督の言葉通り、良い流れを保ったまま主砲・芹生に打順が回るとフラフラっと上がった打球は深く守っていたセンターの前へ落ちるタイムリーヒットとなった。さらにこの打球でセカンドランナーを刺そうとしたサードへの送球が悪送球となってしまい6点目が入る。この後、二死満塁とすると8番・山本の「今日1番の手応えでした」という当たりは右中間を切り裂く走者一掃のタイムリー三塁打。初回を上回る攻撃で加古川東を突き放した。
怪我からの復活の登板となった新免(社)
投げては、背番号1の平内より調子が良かったという理由で先発マウンドを任された長尾が3回を無失点。2回に先頭の加古川東6番・堀本にデッドボールを与えてしまい、送りバントで一死二塁と得点圏にランナーを背負うが連続三振で切り抜ける。3回にもフォアボールで先頭バッターの出塁を許すが後続を打ち取りホームベースの手前、三塁ベースも踏ませない。
4回からは新免がマウンドに上がる。この夏は肘の故障で満足に投げられず、ようやく間に合った公式戦のマウンド。練習試合での登板も多くないが、それでもチームにとって出てきてもらわないと困るピッチャーであることに変わりは無い。キャッチャー・山本が話した「ケガから復活してしんどい思い乗り越えて。新免が投げてるのが嬉しい」という思いはチーム全員共通のものだろう。
新免は内野ゴロ2つで二死を取った後、連打とデッドボールで満塁としてしまう。「ああいう姿が正に経験不足」と橋本監督を不安にさせたが大久保をショートゴロに打ち取りピンチ脱出。5回はキレのあるストレートを武器に3者凡退に抑えコールドゲームを成立させた。
社はセンターには背番号5の辰巳、ライトには背番号3の坂本が入り、スタメンには2桁の背番号が3人名前を連ねた。橋本監督によれば「模索しながら良いスタイルを探してる状態」とのことだが投打が噛み合い快勝。ベンチから戦況を見つめていた女子マネージャーも試合後、「普段より打線がつながりました。次も赤ばっかりのスコアをつけたいです」と笑顔を見せていた。
(文=小中翔太)