悪い腕の振り方がなぜ肘に負担がかかるのか?

 夏の甲子園も終わり、新チームがスタート。すでに秋季大会が始まった地区もあるようです。すでに選抜甲子園に向けた戦いが始まっています。 私も甲子園で2日間、観戦しましたが、今年の印象は素晴らしい投手が多かったな、ということです。現在夏の甲子園で登板した選手の投球フォームをチェックしている段階ですが、テイクバックでの肘の上りなど、数多くの投手がしっかりと上がっている印象があります。これも普段からちゃんとした指導をされていたり、自分でフォームに関してチェックしたりしているからではないでしょうか? とは言ってもまだまだ不十分な投手は多いですのでしっかりとこの『本気の心技体』で正しいフォームをマスターして下さい!!!

 さて今回は、今まで紹介した悪い腕の振り方がなぜ肘に負担がかかるのか?という話をさせて頂きます。

 写真(1)が正しくない腕の振り方、『頭の上に上がってから頭の真後ろに下がる』ができていない腕の振り方です。頭の真後ろに下がらないので手と肘の位置関係が離れ過ぎています(理想は同じ高さ)。これがいわゆる『腕がたたまれていない』という状態です。

 このような状態になると写真(2)のようなことが肘に生じていることが考えられます。腕を振る際に投球方向に肘は進みます。そして手よりも前方に位置することとなります。そこで先程のような手と肘の位置関係が離れている状態となると肘の内側と外側でそれぞれ違うストレスが生じるのです。肘の内側には骨と骨が離されるストレス(伸張ストレス)、外側には骨と骨がぶつかるストレス(圧迫ストレス)が生じるのです。

 人間は骨と骨が離れないように靱帯で強固に繋げています。しかし、腕のたたみが不十分だと、内側の靱帯は離されようとするストレスが生じ、成長期では靱帯が骨に付着している軟骨の部分に負担が生じ、成長が止まってくると靱帯自体に負担が生じることとなります。

 また外側は、上腕骨と橈骨という骨がガンガンぶつかり合います。すると上腕骨側の骨が壊れてきて、最終的には骨が剥がれてしまう、という状態になる可能性があるのです。これを『離断性骨軟骨炎』と言い、最悪の場合は手術が必要になることも考えられます。

 保護者や指導者の皆さん、選手が肘の外側が痛いと訴えてきたら素早く整形外科に行って下さい。まずはレントゲンです。早期発見が重要ですので選手たちに必ずお伝え下さい。

 この離断性骨軟骨炎は数少ない疾患ではありますが、生じてしまうと大変な症状になる可能性が高いですので、医療従事者でなくともしっかりと頭に入れて置いて欲しい疾患です!!!

(文・写真:久保田 正一) 

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