内田篤人の覚悟「絶対にチャンピオンズリーグ本戦へ」
毎年のようにシーズン中の監督交代を繰り返しているシャルケ。今季も雲行きが怪しくなってきた。開幕戦はホームでハンブルガーと2−2の引き分け、第2節はアウェーで0−4とボルフスブルクに敗れている。
まだたったの2試合を終えただけだが、昨季4位でフィニッシュし、チャンピオンズリーグのプレイオフを控えるシャルケとしては痛いスタートとなった。内田篤人も苦笑いせざるを得ない。
「まあ初戦にホームで勝ててないわけだから、雰囲気は良くはないよね……」
ケラー体制になってもシャルケの苦戦は続いた。ドイツ杯は3回戦でマインツに敗れ、リーグ戦は後半戦の初戦でハノーファーに勝利したものの、その後はチャンピオンズリーグを含めて5戦連続勝ち星なし。チャンピオンズリーグでは決勝トーナメント1回戦でガラタサライ(トルコ)に敗退している。
その後、終盤には何とか持ち直して4位でフィニッシュ。数年前のラウルやノイヤーがいた時代に比べるとスター選手が不在の中で、健闘したとも言える。とはいえ,それがケラーの監督としての手腕が発揮された結果かというと、疑問符がつく。勝ち出したタイミングは、エース、フンテラールが復調した時期と符合する。ステフェンス時代のメンバーと戦い方を踏襲したにすぎないという印象が強い。ちなみに就任直後のサポーターの指揮官への不信感は、最近の監督の中で最も強かったように思う。
今季に入って、ケラー監督は独自色を出そうとトライしている最中だ。簡単にいうと、シンプルな速攻を多用するサッカーからポゼッション重視のサッカーへの移行だ。4−2−3−1のシステムは基本的に変わらないが、両サイドバックはその攻撃性を生かして高い位置を取る。ボランチは一枚が最終ラインに入ってボールを回し、そこから攻撃をスタートさせる。
これによって確かに攻撃の厚みは増したが、スペースをスピードを持って駆け上がりたい内田にとっては 「人が多くて詰まっている」状況になるのだと言う。
また、ダブルボランチはフィジカルで勝負するタイプだ。今季はジョーンズを軸に、開幕戦はノイシュテッター、第2節はヘーガーと組んでいる。だが、いかんせん彼らはゲームをコントロールするタイプのボランチではないところに、指揮官の目指すものとのギャップが生まれている。
昨季以来の失点の多さ、特にセットプレイの弱さも解消されないまま。相手次第でそのうち勝利を収めるにしても、これがシャルケだという自信を持てるスタイルがないのが現状だ。
もっとも、内田本人は好調を維持している。
「1戦目よりも2戦目のほうが良くなったし、調子がいいのを実感できている。具体的にいうと、よく走れているし、ロングボールが蹴れている。ロングボールが蹴れているというのは、フォームができているということもあるし、視野が確保できているということでもある。奥が見えてるかどうかというのは、自分の調子のバロメーターだから」
それだけにチームの状態が歯がゆくて仕方がない様子だ。そんな中、シャルケは8月21日、チャンピオンズリーグのプレイオフを迎える。
「でもプレイオフはチャンピオンズリーグとは言えないよね。これを勝ち抜けなかったら今季は相当厳しくなると思う」
チャンピオンズリーグに高いモチベーションを感じる内田だけに、その言葉には覚悟がにじむ。
メタリスト(ウクライナ)が八百長疑惑でチャンピオンズリーグへの出場権を剥奪された代わりに繰り上がりで対戦相手となったPAOK(ギリシャ)の監督は、奇しくもシャルケ前監督のステフェンスである。チームに漂う嫌なムードを払拭するにはこの上ない相手、ということになる。
「絶対に本戦を戦いたいし、ここで勝てばいいきっかけになるかもしれない」
PAOK戦はシーズンを左右する、最も重要な一戦となるかもしれない。
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