珠玉の投手戦を制した今治西、3連覇へ王手!

 「甲乙付けがたい」とはこのことを言うのだろう。松山聖陵の185センチ右腕・嘉陽 宗一郎(3年)はこの試合でスタメン復帰した恋女房・片岡碧斗(3年)に導かれ、ストレートは自己最速を一気に3キロ更新する「146キロ」、スライダーも切れ5安打5奪三振無四球で1失点完投。済美・安樂 智大(2年)の凄みゆえに目立ってはいないが、高卒プロを目指せば十分ドラフト候補になりえるレベルにまで成長している。

一方、最速134キロとスピードこそ嘉陽に及ばないものの今治西の2年生左腕・神野 靖大(169センチ60キロ)もまた、素晴らしい投球内容だった。インコースへのクロスファイヤーだけでなく、アウトコース低めにシュート回転するストレートや、ストライクゾーンから絶妙の曲がりを見せるチェンジアップは、センバツ優勝投手の小島 和哉(浦和学院2年)を彷彿とさせるものだった。

そして凱歌は神野に挙がることとなった。2回裏・二死二塁から自ら三遊間を破った適時打の勢いを駆り、3安打7奪三振完封勝利。神野の正に投打に渡る活躍で3年連続決勝戦へ駒を進めた今治西は、決勝戦で済美との最終決着戦に挑む。

(文=寺下 友徳)