すごすぎて笑うという快感。ついにイモを食った「進撃の巨人」
アニメ『進撃の巨人 1』で一番好きなシーンは、立体機動の調査兵団兵士達がOPの「ハッハッ!」ってところで一斉に飛び上がるところです。
二番目は1話で、ジト目でミカサが、ジャイアントロボの十傑集みたいに走ってくるシーンです。
かっこいいんだけど。かっこいいんだけど。
「えっなにこれ?」っていう感覚がたまりません。
『進撃の巨人』のアニメ版は、PVの時点から理想的な作りといっても過言ではありませんでした。
この作品の魅力はいくつもあります。
まず巨人の圧倒的な恐ろしさ・不快さ。
迫ってくる巨人の、モンスターどころじゃない圧倒的絶望感。
その悲しい運命に抗うために戦う、人間達。
人が簡単に殺されていくのを見る、背徳的な楽しみ。
主人公エレンが属する調査兵団は、驚異的なスピード感と浮遊感を持つ立体機動装置で、街や森の中を飛び回ります。
それでも仲間は死んでいく。仲間の死を犠牲としなければ前に進めない。
「一人の命のためにみんなががんばる」なんてありません。
みんなが助かる最善のために、お前は、俺は死ににいけ。
街にある強固な「壁」とはなんなのか。巨人とは一体何者か。壁の外には何があるのか。
人類は多大な犠牲を払ってでも前に進めるのか。犬死するのか。
コミックスはこの緊迫感、絶望感が面白い作品なのですが、果たしてアニメ化出来るのか、という問いにはもうPVと一話の時点でほぼ満点でした。
ただ人間の形をしているだけなのに、パースをずらすことでなぜか気持ち悪くて仕方ない妙な巨人のデザイン。これがちゃんと動きまわるだけでもすごい。
それを唯一倒すことのできる、立体機動の調査兵団。彼らが超高速で、360度どころじゃない、3次元空間を飛び回る様は、いうなれば両手が使えるスパイダーマン。
これがアニメーションとして描かれただけでもう、アニメ化された価値ありすぎなんです。
人間が具体的に恐怖を感じるのは、大きすぎるものよりも、2階建てのような具体的なサイズを感じるもの、というのを聞いたことがあります。
巨人と人間のサイズ比描写は、動画ならでは。これ以上無いくらい不気味で、「敵う気がしない」。
大砲がまったくきかない、鎧の巨人のシーンが二話で描かれますが、これがまた圧倒的どころじゃない。「人間には無理な領域」です。
その無理に、あらゆる犠牲を払いながら一進一退するハラハラがたまらない。
しかし、この『進撃の巨人』が、個人的に魅力だと思うのは、極度の限界状態に置かれているからこその、シリアスさが笑えてしまうことだと思うのです。
例えば、『ジョジョ』や『カイジ』。究極まで張り詰めた状態での行動やセリフが、妙に笑えてしまう瞬間があるじゃないですか。
『進撃の巨人』は荒々しいタッチで、絶望を描き続けるですが、だからこそやたら印象に残って、妙に笑えてしまうシーンがいくつかあるように思えます。
すごい絶妙なところ。見ていて「ここ笑っていいの?」「いやマジだろ」「いやでも笑ったほうが」という脳内会議が行われる。
最終的に「どっちでも面白いじゃん」になる。
アニメでこの感覚をどう表現するのかと思いきや、3話でやらかしてくれました。
訓練兵になった主人公のエレンやミカサ達。
教官に恫喝される新人。その中で、イモを喰うサシャちゃん!
わからない……原作4巻で描かれるシーンですが、なぜイモをあそこで食っていたのか、どうやって盗んだのか、よりによってなぜあのタイミングなのか、突っ込みどころ満載のシーンです。
訓練兵のパートは笑いが非常に多いのですが、このマンガの笑いは緊迫と緩和のギャップから生まれるので、ツッコミのようなものはありません。
だからどこまで本気で、どこから笑いかわからない、のが面白い。
アニメ版は1・2話が極めて丁寧でシリアスな部分のみで構成されていたので、この緩和、笑いの部分がどうなるのか気になっていたのですが、3話で確信しました。
よし、『進撃の巨人』は笑ってもいいんだ!と。
そうなると、一気にOPの一斉に飛び上がるシーンも、ミカサが無言で走るシーンも、笑ったり突っ込んだりしていいんだと理解できました。
『進撃の巨人』にはいろいろな名言・迷言があります。
「なんの成果も!!得られませんでした!!」
「え?やだよ。足蹴られんの痛いし」
「これで私と離れずにすんだと思って安心してる……」
「誰だよ!!これ全部飲みやがった奴は!?」
「サシャが放屁した音です」
「「蒸かした芋」です!」
「上官の食料庫からお肉盗ってきました」
文字だけだと伝わりづらいですが、インパクトあるシーン満載です。
緊迫しすぎるがゆえの描写が、印象に残るアニメになっています。
それが「怖い!」と感じるもあり。「あれ、笑える」と感じるも、あり。この緩急のバランスや、こちらの感覚が入る隙があるのが、面白いのです。
「えっなにこれ?」を色んな意味で味わってみてください。
オリジナルストーリーを加えながら原作を再現していますが、順番がシャッフルされていて、アニメは主人公エレン達が成長する順になっています。
コミックスは訓練時代を飛ばして、いきなり初実戦に挑むところからになっています。
アニメファンがもっとも注目する最初の3話に訓練兵時代をいれて、緊迫と笑いの両方があることを描いたのは英断。
アニメを追っていけばこの作品の面白さは十分わかりますが、個人的にはコミックスと両方並行して楽しむのがオススメです。
コミックス版のあの独特の空気と勢いが、どう表現されているのか比較して欲しいのです。
最新の10巻では「ええええ!?」な展開になっていますしね。
にしても、個人的に主人公はミカサだと思ってみているのですが、アニメ版ミカサのクール美人ぷりすごいですね。
彼女のバキバキに割れた腹筋がアニメで見られないか密かに楽しみにしています。
『進撃の巨人 1』BD 紹介特典「進撃の巨人」漫画0巻
諫山創 『進撃の巨人』1
『進撃の巨人』1 Kindle版
(たまごまご)
二番目は1話で、ジト目でミカサが、ジャイアントロボの十傑集みたいに走ってくるシーンです。
かっこいいんだけど。かっこいいんだけど。
「えっなにこれ?」っていう感覚がたまりません。
『進撃の巨人』のアニメ版は、PVの時点から理想的な作りといっても過言ではありませんでした。
この作品の魅力はいくつもあります。
まず巨人の圧倒的な恐ろしさ・不快さ。
迫ってくる巨人の、モンスターどころじゃない圧倒的絶望感。
その悲しい運命に抗うために戦う、人間達。
人が簡単に殺されていくのを見る、背徳的な楽しみ。
それでも仲間は死んでいく。仲間の死を犠牲としなければ前に進めない。
「一人の命のためにみんなががんばる」なんてありません。
みんなが助かる最善のために、お前は、俺は死ににいけ。
街にある強固な「壁」とはなんなのか。巨人とは一体何者か。壁の外には何があるのか。
人類は多大な犠牲を払ってでも前に進めるのか。犬死するのか。
コミックスはこの緊迫感、絶望感が面白い作品なのですが、果たしてアニメ化出来るのか、という問いにはもうPVと一話の時点でほぼ満点でした。
ただ人間の形をしているだけなのに、パースをずらすことでなぜか気持ち悪くて仕方ない妙な巨人のデザイン。これがちゃんと動きまわるだけでもすごい。
それを唯一倒すことのできる、立体機動の調査兵団。彼らが超高速で、360度どころじゃない、3次元空間を飛び回る様は、いうなれば両手が使えるスパイダーマン。
これがアニメーションとして描かれただけでもう、アニメ化された価値ありすぎなんです。
人間が具体的に恐怖を感じるのは、大きすぎるものよりも、2階建てのような具体的なサイズを感じるもの、というのを聞いたことがあります。
巨人と人間のサイズ比描写は、動画ならでは。これ以上無いくらい不気味で、「敵う気がしない」。
大砲がまったくきかない、鎧の巨人のシーンが二話で描かれますが、これがまた圧倒的どころじゃない。「人間には無理な領域」です。
その無理に、あらゆる犠牲を払いながら一進一退するハラハラがたまらない。
しかし、この『進撃の巨人』が、個人的に魅力だと思うのは、極度の限界状態に置かれているからこその、シリアスさが笑えてしまうことだと思うのです。
例えば、『ジョジョ』や『カイジ』。究極まで張り詰めた状態での行動やセリフが、妙に笑えてしまう瞬間があるじゃないですか。
『進撃の巨人』は荒々しいタッチで、絶望を描き続けるですが、だからこそやたら印象に残って、妙に笑えてしまうシーンがいくつかあるように思えます。
すごい絶妙なところ。見ていて「ここ笑っていいの?」「いやマジだろ」「いやでも笑ったほうが」という脳内会議が行われる。
最終的に「どっちでも面白いじゃん」になる。
アニメでこの感覚をどう表現するのかと思いきや、3話でやらかしてくれました。
訓練兵になった主人公のエレンやミカサ達。
教官に恫喝される新人。その中で、イモを喰うサシャちゃん!
わからない……原作4巻で描かれるシーンですが、なぜイモをあそこで食っていたのか、どうやって盗んだのか、よりによってなぜあのタイミングなのか、突っ込みどころ満載のシーンです。
訓練兵のパートは笑いが非常に多いのですが、このマンガの笑いは緊迫と緩和のギャップから生まれるので、ツッコミのようなものはありません。
だからどこまで本気で、どこから笑いかわからない、のが面白い。
アニメ版は1・2話が極めて丁寧でシリアスな部分のみで構成されていたので、この緩和、笑いの部分がどうなるのか気になっていたのですが、3話で確信しました。
よし、『進撃の巨人』は笑ってもいいんだ!と。
そうなると、一気にOPの一斉に飛び上がるシーンも、ミカサが無言で走るシーンも、笑ったり突っ込んだりしていいんだと理解できました。
『進撃の巨人』にはいろいろな名言・迷言があります。
「なんの成果も!!得られませんでした!!」
「え?やだよ。足蹴られんの痛いし」
「これで私と離れずにすんだと思って安心してる……」
「誰だよ!!これ全部飲みやがった奴は!?」
「サシャが放屁した音です」
「「蒸かした芋」です!」
「上官の食料庫からお肉盗ってきました」
文字だけだと伝わりづらいですが、インパクトあるシーン満載です。
緊迫しすぎるがゆえの描写が、印象に残るアニメになっています。
それが「怖い!」と感じるもあり。「あれ、笑える」と感じるも、あり。この緩急のバランスや、こちらの感覚が入る隙があるのが、面白いのです。
「えっなにこれ?」を色んな意味で味わってみてください。
オリジナルストーリーを加えながら原作を再現していますが、順番がシャッフルされていて、アニメは主人公エレン達が成長する順になっています。
コミックスは訓練時代を飛ばして、いきなり初実戦に挑むところからになっています。
アニメファンがもっとも注目する最初の3話に訓練兵時代をいれて、緊迫と笑いの両方があることを描いたのは英断。
アニメを追っていけばこの作品の面白さは十分わかりますが、個人的にはコミックスと両方並行して楽しむのがオススメです。
コミックス版のあの独特の空気と勢いが、どう表現されているのか比較して欲しいのです。
最新の10巻では「ええええ!?」な展開になっていますしね。
にしても、個人的に主人公はミカサだと思ってみているのですが、アニメ版ミカサのクール美人ぷりすごいですね。
彼女のバキバキに割れた腹筋がアニメで見られないか密かに楽しみにしています。
『進撃の巨人 1』BD 紹介特典「進撃の巨人」漫画0巻
諫山創 『進撃の巨人』1
『進撃の巨人』1 Kindle版
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