なんて迷惑なアイドルオタク!「アイドルマン」
私事ながら、先日、とあるアイドルグループの自分の推しメンが卒業を発表し、年甲斐もなく動揺してしまった。ちょうどその直後、フジテレビオンデマンドで「アイドルマン」という、アイドルオタク(いわゆるドルオタ)を描いたミニドラマが配信されていることを知った。いまの自分を客観視するには、これは見ておいたほうがいいかもしれない。そう思って、無料配信中の第1話をまず見たのだが……こ れ は ひ ど い(笑)。いくら何でも、こんなにキモくて、アイドルにとっても迷惑なドルオタはいないよ!(たぶん)
それでもぼくがその続きを見たくて、有料配信である第2〜5話まで購入してしまったのは、お笑いコンビTKOの木下隆行演じる主人公の「よっちゃん」に目が離せなくなったからだ。40歳になっても仕事もせずアイドルに夢中の彼は、いつも母親(何と、木下の実の母・木下定子が演じている)に叱られてばかり。握手会など現場に行っても、「嫌われる勇気を持て」と信ずるがままに行動するそのキモオタっぷりは、彼の愛するアイドルをブチ切れさせるほどだが、どこか憎めない。
憎めないのは、主演の木下のユーモラスな演技に負うところ大だろう。なかでも、第3話での演技は絶品。コインランドリーで、自分の好きなアイドルの衣装や下着を見つけてしまったよっちゃんは、その匂いを嗅いだり、頭にかぶってみたりとやりたい放題。それをほかの客に見られたことに気づき、あわててごまかすときの、間の取り方がとにかくおかしい。続く第4話では、TKOの相方である木本武宏が、大阪から上京したドルオタ役で登場。木下からアイドルへのコールのかけ方などを教わるのだが、2人の絶妙なやりとりはやはりコンビならではだ。
よっちゃんたちの追いかけるアイドル役を演じているのは、伊藤祐奈、外岡えりか、酒井瞳と、いずれもフジテレビ発のアイドルグループ「アイドリング!!!」のメンバーである。とくに目を惹くのは、第5話で、酒井が郷里・宮崎から上京してきた父親(モロ師岡)と宮崎弁でやりとりするシーン。さすが地元出身だけあって、彼女のセリフはとても自然だ。
なお、本作の監督・五十嵐匠は、これまで「地雷を踏んだらサヨウナラ」や「長州ファイブ」など実在の人物を題材にしたシリアスな映画を多数撮ってきた。それが「アイドルマン」は純然たるコメディで、彼の作品を知っている人ならきっと驚くはず。
「アイドルマン」は、いまのところ配信されているのは5話までだが、まだストーリーとしては完結したわけではなさそう。今後、よっちゃんがキモオタぶりにどれだけ拍車をかけるのか、ぜひ続編にも期待したい。(近藤正高)
憎めないのは、主演の木下のユーモラスな演技に負うところ大だろう。なかでも、第3話での演技は絶品。コインランドリーで、自分の好きなアイドルの衣装や下着を見つけてしまったよっちゃんは、その匂いを嗅いだり、頭にかぶってみたりとやりたい放題。それをほかの客に見られたことに気づき、あわててごまかすときの、間の取り方がとにかくおかしい。続く第4話では、TKOの相方である木本武宏が、大阪から上京したドルオタ役で登場。木下からアイドルへのコールのかけ方などを教わるのだが、2人の絶妙なやりとりはやはりコンビならではだ。
よっちゃんたちの追いかけるアイドル役を演じているのは、伊藤祐奈、外岡えりか、酒井瞳と、いずれもフジテレビ発のアイドルグループ「アイドリング!!!」のメンバーである。とくに目を惹くのは、第5話で、酒井が郷里・宮崎から上京してきた父親(モロ師岡)と宮崎弁でやりとりするシーン。さすが地元出身だけあって、彼女のセリフはとても自然だ。
なお、本作の監督・五十嵐匠は、これまで「地雷を踏んだらサヨウナラ」や「長州ファイブ」など実在の人物を題材にしたシリアスな映画を多数撮ってきた。それが「アイドルマン」は純然たるコメディで、彼の作品を知っている人ならきっと驚くはず。
「アイドルマン」は、いまのところ配信されているのは5話までだが、まだストーリーとしては完結したわけではなさそう。今後、よっちゃんがキモオタぶりにどれだけ拍車をかけるのか、ぜひ続編にも期待したい。(近藤正高)