国民ランキングという恐怖を知れ。

半年前だった。たくさんの未承認広告メールに混ざり、「今週のあなたの国民ランキングをお知らせします」というメールが届いた。

「今週のあなたの国民ランキングは30,452,985番目でした」

それしか書いていないこのメールには何かの宣伝の要素のカケラもなかった。なんだこりゃ、と思った。でも3千万人番だったら、まぁまぁか、と。そしたらその翌週も「今週のあなたの国民ランキングをお知らせします」というメールが届いた。

「今週のあなたの国民ランキングは29,746,834番目でした。先週はあなたより上のランクの方が53,090人亡くなりました。そして、あなたは前回のTOEICで790点を取得しましたので、ランキングが向上しています」

これには驚いた、まさにぼくが取得した点数がそれだったからだ。ものすごい恐いことながら、順位が上がったのには嬉しくもあった。次の週はこれだった。

「今週のあなたの国民ランキングは31,734,132番目でした。先週はあなたより上のランクの方が89,743人亡くなりました。しかし、あなたは先週ささいなことで配偶者とケンカしています。これで別れる可能性が若干上がりました。これによりランキングが下がっています」

これを読んで、ああ、と思った。確かにそのとき、ぼくが妻の焼き肉を食ったとかでケンカしていたのだ。しかし、これで明らかになった、と思った。このメールは妻からのものだ、と。

早速ぼくは妻に電話した。「あのメールなんだよぉ」「えっ何?」「いや・・・メールのこと」「何?だから、どこか遊びに行こうっていうあのメール? 返信もしてないくせにーー」と、あたかもそれを知らないようだった。それに妻はそのような手の込んだことができない人間だ。ウソも全くつかない。だからぼくの疑問はさらに深まった。

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