【ドイツ】「普通よりちょっと下」。内田篤人が今季前半を振り返る
良いときもあったけれど、全体を通してみると消化不良。それが今季前半戦の内田篤人を振り返ったときの印象だ。
リーグ戦では17試合中12試合に先発出場。とはいえ、そのうちの1試合はわずかに29分で交代したフライブルク戦だ。国内カップ戦のDFBカップは1回戦のザールブリュッケン戦のみ出場。チャンピオンズリーグは6試合中4試合に先発出場しているが、やはりホームでのアーセナル戦はわずかに25分で負傷交代を余儀なくされている。
プレシーズンのキャンプにフルで参加するところから、内田の今季は始まった。これまで代表などで所属チームを離れることが多かった内田にとっては、プロ入り後、初めてのことだった。充実感を持って、満を持して開幕に臨んだ。
これには昨季の反省が込められていた。一昨季があまりにも過密日程だったため(ワールドカッ プから休みなくシャルケに合流。冬にはアジアカップも戦った)、特別に長めの休暇を与えられた。その休暇明けにコンディションが上がり切らず、流れに乗れないままリーグ戦序盤の出場チャンスを逸したという経験があった。だからこそ今季、内田は最初からチームと共にあることを望んだ。
だが、リーグ戦とチャンピオンズリーグを、メンバーをローテーションさせながら戦う中で、内田の出場試合数はさほど伸びなかった。焦る内田はコーチに「これだけ試合数が多いのだから全部に出ようとする必要はない。この状況に慣れないと」と、諭されたこともあった。頭ではそう理解できても、感情はそうはいかない。少しずつ自分を納得させながら、練習に臨むモチベーションをコントロールするところまでに至ったのだと、内田本人は説明する。
時とともに内田は調子を挙げ、指揮官の信頼を勝ち取ることになる。第7節からは5試合連続で先発出場。第12節、11月3日のホッフェンハイム戦では念願のブンデス初ゴールをあげる。こぼれ球を押し込んだ形のゴールだが、「あれ、ださくなかった?」という名言(迷言?)とともに、記憶に残るものとなった。
気になるのは、昨季も負傷した右もも裏を今季も2度、負傷していることだ。最初は11月6日のアーセナル戦、2度目は12月15日のフライブルク戦。負傷について内田は多くを語らないが、部位は多少ずれているとのことで、来年の過密日程を考えてもここで完治させておきたいはずだ。
もうひとつ、チームの状況も気になるところ。序盤戦は快進撃を続けたが、第12節でレバークーゼンに敗れると、その後は第17節まで一勝もあげることができなかった。当初は優勝も目標に掲げていたチームが、7位で折り返すことになったのだ。
17節終了後にはステフェンス監督が解任。U−17を率いていたケラー氏を新監督に迎えて臨んだDFB杯3回戦も、ホームでマインツに敗れている。そのマインツ戦を見る限り、ケラー新監督がステフェンス前監督のチームを大きく変えるわけではなさそうだ。メンバーにも戦術にも劇的な変化は見られなかった。また、この日の戦いぶりを見る限り、モチベーターとして短期的にチームをまとめあげるタイプにも見えない。
この試合を欠場した内田は「そう簡単にチームは良くなるわけじゃない。時間はかかると思う。でもリーグ戦はまだまだある」と語っている。
内田にとってもチームにとっても、このタイミングでブレイクを迎えられるのはむしろ好都合だろう。後半戦の巻き返しに期待したい。
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