「異化」の視点が、常識を打ち破る/松尾 順
既存の「ありかた」や「ルール」をまるで見知らぬことのように認識することを社会調査では「異化」と呼びます。
「異化」の視点によってものごとを見ることで、常識を打ち破る新しい発想が生まれます。
有機野菜を中心とする食品を宅配するネット通販、
オイシックス
の初のヒット商品は2001年に発売した
「ふぞろい野菜」
でした。
色や形、大きさなどが規格を外れている野菜は、農協などの正規ルートでは売れないため、自家用にするか、処分せざるを得ないのが現状。同社では、こうした規格外品を買い付け、「ふぞろい野菜」として販売。ニンジン、きゅうりなどは、通常品より3割程度安いのだそうです。
この「ふぞろい野菜」が生まれたのは、同社スタッフが農家の収穫を手伝っている際に、畑の片隅に規格外品が積まれているのを発見したことがきっかけ。
同社社長、高島宏平氏は、
「売れば絶対にヒットする」
と農家を説得したそうですが、最初はなかなか説得に応じなかった。
「味は同じだが、傷があったり形が悪かったりするから出荷できない」
と農家側は思い込んでいたのです。
実際、農協ルートには規格外品は出荷できないのが現実であり「常識」。要するに、農家としては既存の「常識」に捉われていたわけです。
そこで、高島氏は、同社の会員に調査を実施。
「形がふぞろいでも、安くて安全でおいしい野菜なら買う」
という好ましい反応が得られた調査結果を農家に見せることで、ようやく規格外品の買い付けに成功したのだそうです。
さて、社会調査において、
「同化」「異化」
という言葉があります。
「同化」とは、見知らぬことを「既に知っていること」に当てはめて認識しようとすること。
一方、「異化」とは、既に知っていることをまるで「まだ知らなかったこと」のように認識してみて、「なぜか」と問い直してみることです。
オイシックスの高島氏の場合、
「規格外品は出荷できない、売れない」
続きはこちら
「異化」の視点によってものごとを見ることで、常識を打ち破る新しい発想が生まれます。
有機野菜を中心とする食品を宅配するネット通販、
オイシックス
の初のヒット商品は2001年に発売した
「ふぞろい野菜」
でした。
色や形、大きさなどが規格を外れている野菜は、農協などの正規ルートでは売れないため、自家用にするか、処分せざるを得ないのが現状。同社では、こうした規格外品を買い付け、「ふぞろい野菜」として販売。ニンジン、きゅうりなどは、通常品より3割程度安いのだそうです。
同社社長、高島宏平氏は、
「売れば絶対にヒットする」
と農家を説得したそうですが、最初はなかなか説得に応じなかった。
「味は同じだが、傷があったり形が悪かったりするから出荷できない」
と農家側は思い込んでいたのです。
実際、農協ルートには規格外品は出荷できないのが現実であり「常識」。要するに、農家としては既存の「常識」に捉われていたわけです。
そこで、高島氏は、同社の会員に調査を実施。
「形がふぞろいでも、安くて安全でおいしい野菜なら買う」
という好ましい反応が得られた調査結果を農家に見せることで、ようやく規格外品の買い付けに成功したのだそうです。
さて、社会調査において、
「同化」「異化」
という言葉があります。
「同化」とは、見知らぬことを「既に知っていること」に当てはめて認識しようとすること。
一方、「異化」とは、既に知っていることをまるで「まだ知らなかったこと」のように認識してみて、「なぜか」と問い直してみることです。
オイシックスの高島氏の場合、
「規格外品は出荷できない、売れない」
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