亀井社長「今交渉中ではありますが、(昨年12月の時点で)完全撤退する話は出ていません。ですので、もし胸スポンサーから撤退することがあったとしても、大王製紙からの出資が0になることはないと思います」

■「愛媛FCしまなみ」地域リーグ決勝大会辞退の理由

――昨シーズンは愛媛から後にJ2へ参入した栃木、熊本、北九州などが愛媛より上の順位でJ1昇格争いを演じました。その部分で「置いていかれた」感はありますか?

亀井社長「正直、その感情は持っています。それらのチームに含め、岡山より下の順位になってしまったのは、もちろんクラブによって色々な状況はありますが、情けないと思っています。今のところ、スポンサーの皆さんもJFLからJ2に昇格したことでホッとされているところがあるので、我々としても『その上』があることを話していきたいですね」

――その一方で、今季からはJFLとの「入れ替え戦」も導入されます。

亀井社長「観客的目線で見ればプロの興行として強ければJ1に上がり、弱ければ下部リーグに落ちるのは面白いんですけど、クラブとしてはJFLのような企業、市民チームも混在するリーグに落ちてしまうと、これまでの努力の価値が無になってしまう。それは申し訳ない。J3のようなプロリーグをJ2の下に作るのが理想でしょうね」

――JFLの話で言えば、昨シーズンは四国リーグで優勝した「愛媛FCしまなみ」が地域リーグ決勝大会を辞退した出来事もありました。ここは社長としても苦渋の決断だったと思うのですが……。

亀井社長「選手たちには申し訳ないことをしてしまいましたが、春の時点から愛媛FCしまなみがJFLに昇格することは経営的に難しいと思っていました。愛媛FCしまなみは国体成年強化の要望を受け、加えてトップチームの強化を図る目的で2009年に愛媛しまなみFC引き受けた経緯があるしJFLを第一に目指しているわけではないので、その点ははっきりと四国リーグ開幕前に伝えておけばよかったと考えています」

――2012年シーズンの「愛媛FCしまなみ」はどのような形で進めていくのですか?

亀井社長「2011年中には何らかの形で発表したいと思っています」(注:2011年12月30日・有限会社アークへ移管。「FC.IMABARI」に名称変更して2012年シーズンも四国リーグで活動することが発表された)

(後編へ続く)

■著者プロフィール
寺下友徳
1971年、福井県生まれの東京都東村山市育ち。学生・社会人時代共に暗中模索の人生を経験した末、2004年にフリーライターに。さらに2007年からは愛媛県松山市へと居を移し、「週刊サッカーダイジェスト」、「中学サッカー小僧」、「スポーツナビ」、「高校野球情報.com」、「ホームラン」、「野球小僧」など様々な媒体に四国のスポーツ情報を発信している。