齋藤くん(横浜FMに復帰)については最後まで動向がわからなかったので、もし残留しなかった場合でも、なるべく戦力ダウンにならないような補強を組むようにしました」

■J1昇格への最大ネックは「スタジアム問題」

――続いてホームの観客動員についてですが、昨シーズンは東日本大震災の影響もあったとはいえ、19試合で66,022人・1試合平均3,475人に終わり、2010年シーズンの18試合で78,945人、1試合平均4,386人から大きく減る形になりました。ここはどのように分析されていますか?

亀井社長「僕としては全くクラブの人間が努力していないとは思っていませんし、クラブとしても努力はしています。やはり(松山市の中心街から車で1時間近くかかる)スタジアムの場所や天気の問題がありますし、もう1つ言えば少々かったくらいでお客さんが増える時代ではなくなってきていると思います。もちろん、3位以内に入り終盤にJ2優勝争いをすればお客さんは増えるでしょうが、5位から8位くらいでは急激にお客さんが増えることはない。5,000人が10,000人になるような状況はないと思います。

 これは色々とご協力頂いている愛媛県には誠に申し訳ない話なんですが、現状のスタジアムでは来て快適に試合を見て、快適に帰って頂くにはどうしても難しい環境。今はほとんどない屋根の問題も含め、これから国体(2017年開催)までに充実してもらいたい気持ちではいます」

――昨年5月29日の愛媛新聞7面には「もしスタジアムの改修が終わったとしても来季から導入されるクラブライセンス制度でJ1基準の取得は難しい」という地元紙報道もありました。

亀井社長「スタジアム自体については改修が全て終わればハード面でJ1の基準はクリアできます。ただソフト面、特にアクセスの快適性についてはJリーグからも改善の要望が出ていることは確かです。そこについては僕らが使って、観客を集めても問題が出る部分でありますので、行政にお願いしたい部分ではあります」

――愛媛県など行政側にはそういったリクエストは出しているのですか?

亀井社長「国体改修の際にJリーグに合った基準のスタジアムにしてほしいという話はしています。ただ、県の方針は『2017年までに』ということなので、今年すぐにJ1仕様ということは現時点で保障されていない。そこは僕らも工程の順番を変えてもらうなどして、早くJ1規格のスタジアムにしてもらいたい。特に固定席については1万5千席以上ないとJ1昇格の土俵にすら上がれませんので、そこは早く着手してもらいたいと思っています」

――当初の目標だと今シーズンは「J1昇格を目指す」と位置づけていましたが、その方針には変化はないですか?

亀井社長「変化はありません。ただ、気持ちの中では変わりはないのですが、いかんせん昨年来の経済状況や東日本大震災の影響を考えるとなかなか難しいところはあります。もちろんJ1に行くつもりで準備は進めますが、このままでは施設・資金面は必ずネックになると思います。
クラブの収入自体は増えています(2010年・約4億7500万円、2011年・約4億9000万円)し、そこはみんなが頑張ってくれた成果だと思いますが、それでも他チームよりは収入は少ない。その意味で大塚製薬が多額の出資をした徳島が昨シーズンJ1に昇格してくれれば、今季ウチもスポンサー収入が増える機運にはなるかなと思っていました。ただそうすると四国ダービーはできなくなる。複雑な想いを持って終盤戦を見ていました」

――その収入面では、これはみんなが心の中で心配していることだと思うんですが……。昨年あった胸スポンサーである大王製紙による一連の問題。これによりスポンサー収入がどうなるか言える範囲で聞かせて頂けますか?