2012年のJリーグは、J1よりJ2のほうが白熱するかもしれない。すでに決定しているJ1昇格プレーオフに続き、J2とJFLの間に昇降格が持ちこまれるからだ。

3チームが権利を得るJ1昇格を巡る争いは、1位と2位が無条件で昇格する。あわせて、3位から6位の4チームが『J1昇格プレーオフ』に出場する。

6位までがプレーオフに出場できるのは、なかなか絶妙な設定である。
昨年のJ2を振り返ると、6位の千葉、7位の京都、8位の北九州が勝ち点58で並んでいる。9位の草津も勝ち点57、10位の栃木も勝ち点56だ。プレーオフが開催されていれば、全20チームの半分が最終節まで明確な目標を抱いていたことになる。

一昨年のJ2も調べてみると、6位の横浜FCと7位の熊本が勝ち点54で並んでいた。8位の徳島、9位の鳥栖が勝ち点51、10位の栃木が勝ち点50である。さらに加えて、11位の愛媛、12位の草津も、6位の横浜FCと勝ち点6差でフィニッシュしている。わずか2勝分の違いだ。9位までがプレーオフ圏内だったと理解できる。

念のため、もう一年さかのぼってみる。
09年の6位は勝ち点79の札幌で、7位は勝ち点74の東京ヴェルディだった。最終節を待たずにプレーオフ進出チームが決まっていたわけだが、9位の徳島までが勝ち点を70以上に乗せている。このシーズンのJ2は18チームで争われていたので、リーグの半分にあたるチームが最終盤までプレーオフに望みをつないでいたと考えていいだろう。

JFLとの昇降格は、最下位 (22位) が自動降格で、21位が入れ替え戦に臨む。ただし、JFLのクラブがJ2昇格の資格を満たしていなければ、入れ替えは実施されない。具体的には、Jリーグの準加盟クラブであることなどが条件となる。

今季のJFLに参加する17チームのうち、現時点ではカマタマーレ讃岐とV・ファーレン長崎の2チームにのみ昇格の権利がある。この2チームが1、2位となれば、J2の最下位は自動降格し、21位は入れ替え戦を戦う。しかし、いずれか1チームが優勝し、もう1チームが3位以下となった場合は、J2最下位チームが自動降格するだけだ。入れ替え戦は行なわれない。

いずれにせよ、J1昇格のみに注目が集まっていたJ2に、今シーズンから残留争いという見どころが生まれた。昇格という果実を得るためだけでなく、J2で戦う権利を失わないためのサバイバルが加わったのである。

FC町田ゼルビアと松本山雅FCを加え、今シーズンのJ2は22チームで開催される。例年と同じような展開で進めば、少なくとも10チームは終盤まで昇格を意識して戦っていく。

下位チームは降格を免れなければならない。
結果に関係なくJ2で戦える保証は、もはやなくなってしまったのだ。これまでまったく注目されていなかった── J2の最下位チームがどこなのか、僕はまったく記憶していない── 下位チームの戦いも、今シーズンは意味を持ってくる。

プレーオフも入れ替え戦も、前提条件がいくつもある。実際に動き出してみないと、まだまだ分かりにくい。ただ、上がる可能性が拡がり、落ちる危機感がもたらされたことで、リーグ全体が引き締まったものになるのは間違いない。

J1と代表チームにも、好影響をもたらすはずである。これまで以上にタフなJ2の環境のなかで、10代後半から20代前半の選手が揉まれていけば── J1やフル代表はもちろん、若年層の代表にも好影響が及ぶ。J2から全体が底上げされていくだろう。

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