【平野】じゃあさ、今はデジタルでチャプター切りできるんだから、遊びの演出も入れつつ、さっさとヌキたいヤツがカラミにすぐ飛べるように作りゃあいいじゃない。おまえは恵まれてるよ。だって、つまらなくてもガマンしてヌケる作品を何本か撮って大ヒット飛ばせばさ、たまには遊べるでしょ? オレなんか仕事の依頼が来ないから、思いっきしビンボーだもん。おまえ、金貸してくれよ!(笑)

【雨】平野さんは、なんでAVだったんですか?

【平野】オレのやりたいことなんて、映画でもないし、テレビであるワケがないし、行き場がなかったのよ。だからAV。器用な人がうらやましいよ。仕事として売れるAVも作れて、ほどほどに遊べる人が。オレなんかカラミに興味ないからね。

【キム】ええっ!?

【平野】いや、正確に言うと、カラミ自体は好き。自分がやるのは。でもそれを撮りたいとは思わない。そこに至る過程に興味があるんだもん。それにオレ、変なイメージついちゃってるし、仕事なんか来ないよ……。

【プ】変なイメージって、過去にあんな作品を撮ってたらコワイ人だと思うのは当然だし、発注しても、絶対に言うことを聞いてくれなさそうじゃないですか!

【平野】オレ、全然言うこと聞くよ。内容や演出に口を出されても全然気にならない。だって作品はお金を出す発注者のものだし、オレは指示された作品を作る、単なる職人って感覚。けど、誰もなんの指示もしてくれないから、好き放題やっちゃうだけ(笑)。

【雨】それはニュースですよ! 平野さんが他人の言うことを素直に聞くと思っている人なんて、AV業界でひとりもいないと思います。これを読んだら、喜んでオファーが来ちゃうかもですよ!!

【平野】大歓迎だよ〜。人が考えた構想をカタチにする作業なんて、喜んで挑戦してみたいよ!!

【プ】自分の両親や奥さんをAVに出しちゃう人とは思えないなあ。目の前にいる人は本当に平野監督なのだろうか?

【平野】自分の嫁さんを出したのは、外注の監督だったオレに好き放題やらせてくれたAVメーカーの「V&Rプランニング」に恩返しをしたかったからなの。今回の『監督失格』も、由美香や彼女のお母さんの赤裸々な姿を公開するんだから、自分が絶対に見られたくないような姿も撮って、由美香やお母さんはもちろん、自分の嫁にも、「ここまでやるんなら仕方ないか……」と、納得してもらうために公開したんです。

【プ】恩返しや、周囲を納得させる方法は変わっているが、一切話が通じない人ではないみたいですね! よかったぁ〜♪

【キム】平野さんは今のAV業界についてどう感じてますか?

【平野】工場みたいな作り方だってみんな言ってるよね。同じような内容だから最近は観ないけど。

【キム】まさに工場です。先月なんて1ヵ月で14本撮ったんです。

【一同】ええええ?っ!?

【キム】毎日撮影と編集に追われ、現場で自分が何を撮っているのかもわからなくなったりします。深夜に自宅で、突然涙が流れてくることもありました……。

【平野】おい、おまえは今、非常にいい境地にいるぞ! そこで爆発できるかダメになるかは知らんが、頑張ってわが道を進めよ!!

【キム】ありがとうございます!!

【雨】ところで平野さん、『監督失格』は監督のリアルな過去を表現したドキュメンタリーですが、それを超えるような次作の構想はあるんですか?

【平野】あるよ、近親相姦。もちろん本物のね! 普段から姉と弟で近親相姦しちゃってる姉のほうに出会ってさ、両者を口説き落として撮ったんだけどさ、これが傑作なんだ♪(超うれしそう)

【プ】やっぱり少しコワイ人かも……。とにかく、稀有(けう)な奇才であることは確か。上映中の映画を観て気に入れば、来春発売予定の近親相姦AV(タイトル未定。ハマジム)も恐る恐る観てみては?