前田俊介が輝きを取り戻したのは、田坂監督の配置転換を受け入れた素直さがあった。これまで幾多の監督の下でプレーし、自分のスタイルを曲げなかった男は、まずは話しを聞き、そして自分に合うかどうか判断した結果、田坂体制下で更生した。今ではハードなインターバル走でトップ集団を走り、チームの企画したイベントにも積極的に参加している。

■再生工場は活況

再生できるには、それなりの素質と条件が埋もれているか残っていてこそなのである。元々、天才と言われていた前田は、波に乗れば一気に結果を出すことは可能だった。若い頃は一本道ではないから、いろんな考えや希望、目標がある。まずは、それを一本道に導くためにひと苦労するが、その後は押しつけることなく一本道を歩かせると、蛇行しながらも進んで行くようになる。そして、少しずつ結果が出始めると自らが進んで歩き出し、時には走り出したりすることを田坂監督は狙っていた。

トリニータ再生工場の“制作物”は前田だけではない。能力がありながらもこれまで力を発揮できなかった森島康仁、出場機会を与えられなかった西弘則、土岐田洸平、宮沢正史など、田坂監督の下で輝きを放ち、前田同様に今季自身のキャリアハイを記録するであろう選手は数多い。

最近では、草津から戦力外通告を受けていた194cmの長身DF・梅井大輝が加入し、移籍ウインドウが閉まるまえに岐阜からボランチの永芳卓とC大阪からGK丹野研太が期限付き移籍でトリニータ再生工場に飛び込んできた。彼らがどのような復活劇を見せてくれるのか、楽しみが増えた。

■著者プロフィール
【柚野真也】
1974年、大分県大分市生まれ。大学卒業後、専門紙の記者として活動、その後、フリーランスのライターとして活動を開始。九州のスポーツをメインに「週刊サッカーダイジェスト」「J’sGOAL」などサッカー専門媒体や、「フットサルナビ」「Fリーグモバイル」などフットサル専門媒体にも執筆。



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