「ジンザイ」には2種類ある。事業組織にとってヒトを“材”として扱うか、“財”として扱うかは大きな違いだ。そして働く1人1人にとっても、自分が“材”になるか“財”になるかは人生・キャリアの大きな分かれ目となる。

◇ ◇ ◇ 考える材料 =1= ダイヤモンド2つの価値 ◇ ◇ ◇

 ダイヤモンドには2つの「価値」側面がある。つまり、ダイヤモンドは高価な宝石として取り引きされる一方、研磨材市場においても日々大量に取り引きされている。前者は「財」(たから)としての価値が扱われ、後者は「材」としての価値が扱われているのだ。1粒1粒のダイヤモンドは、産出されるやいなや、「財」商品に回されるか、「材」商品に回されるか決められてしまう。

 では、この両者の境界線はどこにあるのか?―――それを一言で表せば「代替がきく」か「きかない」かである。
 
 「財」はその希少性・独自性から代替がきかない。だから大粒のダイヤモンドは宝飾品として重宝され、高い値段がつく。石によっては、家宝として代々受け継がれるものもある。一方、研磨材として利用されるダイヤモンドは、その1粒1粒の大きさや品質に特出したものがなく、その採掘量は多い。その硬いという性質から研磨材に回されるわけだが、使い減ってくれば、やがて新しいものに取り替えられる運命にある。消耗品としてのダイヤモンドの姿がそこにはある。

◆代替されるから「材」/代替されないから「財」
 ダイヤモンドにみる「財」と「材」の価値差は、私たち一人一人の働き手にもまったく同じことが当てはまる。―――「その仕事はあなたでしかできないね!」と言われる人は、代替がきかないゆえに「人財」である。逆に、「その仕事はあなたがやっても、他の人がやっても同じ」と言われてしまう人は、代替がきくゆえに「人材」なのだ。


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