企業向けコンピュータソフトを販売するアシストは、社長がビル・トッテンという元アメリカ人(2006年、日本へ帰化)であるために、一見“外資系”のように思われるかもしれない。しかし純粋な日本企業であり、社長みずからが「日本式経営」、つまり戦後の日本で多く見られた終身雇用制度による愛社精神の醸造を企業の安定の要だと喧伝してはばからない会社だ。

【一度外に出て働く意味を見つめなおしたリーダー】
株式会社アシスト 東日本第3支社 古市 靖 (ふるいち やすし)
― 1992年、大学卒業後アシストに入社。営業部門に配属され、2003年8月、自己都合のため退社。 2004年5月、アシストに再入社、営業職で現在に至る。

そのため普通の会社ではあまり見られないことが起きる。例えば、ある社員が辞めたいといえば、普通なら引き留め、しかし一度辞めてしまえば付き合いはなくなるというのが一般的だが、アシストはその逆で、辞職したいといってきたら基本的に引き留めることはない。トッテンいわく「会社の都合でその人の自由を奪うことだから」。

その代わり、戻りたい、と言ってきたら、その人を受け入れたいという部署があれば再入社が可能である。可能というよりも実際約800人の社員のうち30人が、そのようにして会社に戻ってきている。古市靖もその一人だ。

古市は1992年、新卒で入社して以来10年間アシストで営業マンとして働いた。IT業界で営業の経験を積んだ古市にヘッドハンターの声がかかったのは2003年8月だったという。

「仕事に不満はなかったし、給料だって特別少ないと思っていたわけではないけれど、年収を聞かれて答えると、“少ない!その倍はもらえる”と言われて、そう言われたら、えっ、そうなのか、と(笑)」


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