―――アンチヒーローを書くとき大切なのは?


アーロン:褒めてくれて、ありがとう。アマークは映画の最初1時間55分はアンチヒーロー。つまり、最後の5分以外はアンチヒーローとして描かれています。しかし、最後の部分で彼が自責をすることで、共感し、尊敬し、弁護し、そして彼を好きになることができます。私自身がマークと似ているところ、それは、シャイで公の場に来るとぎこちなくなり、自分がはみだしている気がすると感じるところ。それがわかったので、キャラクターとつながり、いい悪いを判断するのではなく、共感をもって書くことができました。

―――この映画には、ソーシャルネットワーク語録ができるぐらい印象的なセリフが多かったように思えます。 特に好きなセリフは?


アーロン:好きなセリフ…私自身、9歳の娘がいる父親ですが、書いたものすべてに対して、私は父親のような存在です。しいて言えば、ジェシーがしゃべったセリフが全部お気に入りかな(笑)。
ジェシー:アーロンは僕が一番好きな脚本家です。彼が書いたものは、見るたびにいろんな発見があります。同じものでも、1回目はドラマに見えても、2回目は社会的、3回目には他のものが見えたりします。好きなセリフはマークの ’I made FACEBOOK’です。このセリフがマークの立場をうまく表現し、かつ知的所有権についての意味を要約していると思います。僕の友達で知的所有権を専門とする弁護士が言っていましたが、「所有権というのはアイディアではなく、それを表現されたものに発生する」と。

―――映画を観て、この映画は単なるサクセスストーリーでないと感じました。ラストシーンにはどんなメッセージが?


アーロン:脚本家は俳優がどういう表情をするかまでは書けません。ジェシーのような素晴らしい俳優が再現し、人間として素晴らしく演じてくれてうれしいです。
メッセージは言いたくありません。観客が観て、自分で決めて欲しいから。既に、本作は全米で公開されていますが、観た人は同じ映画なのに、違う感想をもって映画館を出てきます。これはうれしいことです。私がメッセージを語ることで、これから見る人に先入観を持って欲しくないとも思います。
ジェシー:最後のシーンは(マークが)罪悪感につきまとわれていたからとった行動ではないかな。昔の友人に法廷でひどいことを言われ、まるで自分自身が怪物のようになっていたから、ああいう行動をとったのではないかと思います。

―――自分が書いた脚本でうまくいったシーン、監督によってうまくいったシーンを教えてください。


アーロン:監督によって、全てのシーンが思い描いたものより素晴らしくしてくれました。制作はソロでやるより、バンドでやるほうがいいです。(映画のように)グループのほうがいいものが作れると思います。監督がよくしてくれたシーンとして、ひとつあげますね。マークがガールフレンドにフラれて寮に戻ってくるシーンです。この時、彼は傷ついて(復讐の)決意を固めています。脚本では、彼の怒りを表現したビートがきいた激しい80年代の曲を想定していましたが、監督は真逆の全く静かなインストルメンタル、シンプルなピアノ曲(「マークのテーマ」)をシーンにつけました。その曲によって、よりマークの心情、孤独が際立って表現されたと思います。また同時に、観客はこの話は父親の学生時代の物語でない、現代の物語であることがわかると思います。

―――フェイスブックを使いこなしていますか?またフェイスブックの他のSNSと違う魅力を教えてください。


ジェシー:マークの目からみて答えると…
マークはフェイスブックの排他性に興奮したんだ。そして、それはみんなが求めているものだったので、ビジネスプランとして成功したんだ。僕個人としては、フェイスブックに入っていません。既に俳優として、インターネットには僕の情報が載っているので、今更、自分の情報をのせなくていいと思っています。
アーロン:フェイスブックは使用していません。脚本を書くのにあたり、リサーチ中は使っていたが、今はやめています。フェイスブックの魅力は最初は排他性にあったと思います。それは新しいレストランや初期のシルク・ドゥ・ソレイユの席がなかなかとれないと同じように。しかし今では誰でもとれるようになりました。フェイスブックも最初は「ハーバード」という名誉アドレスがないと入れませんでしたが、今では誰でも入れるようになり、人々のコミュニケーションツールになったと思います。

―――この映画のモデルである実在の人々は映画を観ましたか?また、誰かに会いましたか?


アーロン:実際何人かは会ったし、映画を観てもらいました。エドゥアルドは行方不明で連絡がとれませんでしたが、彼の代理人から連絡があり、彼はプライベート試写で映画を観ました。ウィンクルボス兄弟も何回か観ました。マークは19歳のことを書かれていたので、彼自身、複雑な思いもあったかもしれないけど、私たちにユーモアをもって接してくれました。映画館を借り切って、会社のスタッフ全員に観せて、その後、みんなと飲みにいったそうです。
ジェシー:僕のいとこがその貸切った映画館で映画を観たんだよ。僕のいとこはフェイスブックで働いていて、僕とマークの間に入ってくれたんだ。試写の後に、マークが語ったのは、僕の演技に関して、なかなかよかったとのこと。ナイスジョブということだけきいた。本当は、映画の感想を聞きたかったけどな。

 本作は、現在東京で開催中の、第23回東京国際映画祭のオープニング上映作品として先週末の23日(土)に上映され、公開に先駆けて早くも話題となっている。全国ロードショーは2011年1月15日(土)。丸の内ピカデリーほかで上映となる。

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